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トークライブ3人会「発酵と熟成の世界~地域内循環と場づくり~」ミートカレッジ ギューテロワールにて

公開日: : 2017/02/05 イベント

昨年、タルマーリーの渡邉さんと林源十郎商店の辻さん、私の3人が岡山に集まり夜な夜な飲み明かすと言う変な会がありまして、あまりにも楽しくてマニアックすぎる内容に同席した知人たちがこれは我々だけでシェアするにはもったいない、だれかに聞いてもらいたいということで、タイトルのイベントが立ち上がったわけなのです。

会場のミートカレッジギューテロワール(京都北山の南山地下)には60名ほどのマニアックなみなさんが全国から集まってくださり、異様な雰囲気の中(笑)、まず最初にマイクを握ったのはタルマーリーの渡邉さんでした。

「化学物質の多い地域では自然界に存在しない菌が発生してしまった」「ドーパミンやセロトニンは腸内で作られる」などなど・・自然を求めて田舎へ田舎へと住居を移しながら微生物と共に仲良く暮らす渡邊さんのお話に前のめりになりながら話を聞く参加者が印象的でした。本当はタルマーリーのパンが食べたかったのですが、この時期は2か月お休みするらしく、代わりに野生酵母で作られたクラフトビールを持ってきていただきました。おいしくて驚きました!

☆タルマーリーについて
2008年、渡邉格さん&麻里子さんが夫婦共同経営で、千葉県いすみ市で開業。自家培養酵母と国産小麦だけで発酵させるパンづくりを始める。そして、酒種をつくるための麹菌も自家採取し始めたことで、素材の栽培方法が発酵に表れる、つまり自然栽培(無肥料無農薬)の素材が一番良く発酵することに気づく。

2011年の東日本大震災と福島第一原発事故の後、より良い水を求め岡山県に移転し、天然麹菌の自家採取に成功。そして、「パンを作れば作るほど、地域社会と環境が良くなっていく」事業を目標に、ロール製粉機を導入し、地元産の自然栽培小麦を自家製粉してパンや焼き菓子の材料に使い始める。さらに、パンで積み上げてきた発酵技術を活かし、野生酵母だけで発酵させるクラフトビール製造を実現するため、2015年鳥取県智頭町へ移転。元保育園を改装し、パン、ビール、カフェの3本柱で事業を展開。

「地域の天然菌×天然水×自然栽培原料」「今ここで、タルマーリーにしかつくれないパンとビール」

天然菌による発酵を起点とした地域内循環の実現こそ、タルマーリーの集大成と考え、智頭の里山の恵みを最大限に活かした加工と、それを楽しむ最高の場づくりを目指しています。

渡邉さんからマイクを渡された林源十郎商店の辻さんは、やわらかい雰囲気からは想像もつかないほどやることは武骨で男気に溢れた商いをされています。それでいていつも自然体ですからそのライフスタイルに憧れる人も多いことでしょう。
☆林源十郎商店について
世代や地域などの垣根を越えた「へいのない学校」倉敷市美観地区にある倉敷生活デザインマーケット・林源十郎商店プロデューサー、辻信行さんは、美観地区にあるカフェ、三宅商店や郊外にある水辺のカフェの店主でもあります

辻さんが取り組んでいるのは、地域の学校。三世代が集う場所づくりであり、日々の暮らしの中で、次世代を思いやる気持ちを育て、自然に寄り添う暮らしを考える場づくりをすること。手間をかけること、旬のものをいただくこと

当たり前のことが、当たり前でなくなった今、三宅商店や林源十郎商店が共感を呼んでいるのは、やっぱり、人の心と身体は、自然を求めてるからなんでしょうね。(グロッシー 北村貴さん)

最後は私が少しだけお話しさせていただいたのですが、3人の話しに共通するのは「自然」と「場づくり」であり、発酵も熟成も街も自然がテーマであり、「場づくり」がなによりも大切だと感じたのでした。最後にきたやま南山の孫さんが、「安い、早い、大量」etc、効率性、経済性優先の現代は不自然な状態がいっぱい。便利過ぎる、安過ぎるコト、モノへの疑問をもつ感覚。非効率的、非経済的でも超自然なコト、モノの豊かさと喜び。その評価と共感、新しい価値観が広がって行く力を学ばせていただきましたと締めくくり、盛況のうちに第一部がお開きとなりました。

第二部は、1年前に惜しまれつつ閉店した東京・三軒茶屋のレストラン「愛と胃袋」の鈴木信作シェフが腕を奮ってくれました。

きたやま南山の熟成庫で60日間エイジングさせた近江牛ランイチ。舌触りが良く独特の香りを纏いながら参加者を唸らせたのです。これほど旨く仕上がるとは、これも自然のなせる業なのでしょう。改めて肉は奥深くて神秘的で死してなお生きていることを実感したのでした。

☆愛と胃袋について

鈴木信作シェフは、15歳から日本料理店などで修業を積み上京。和食からフレンチに転向。そしてフレンチの鬼才、植木将仁シェフのレストラン・マサ ウエキで副料理長を勤める。後に全国の特産品を扱う起業家サロン「なみへい」で料理長を経て、2011年9月に東京三軒茶屋にてユニバーサルフレンチ「Restaurant愛と胃袋」を開業。丸4年間、ベビーから100歳のマダムまで幅広い層に愛されるも、山梨移住を考えて、2015年9月に三軒茶屋の店を閉店。モダンでクリエイティブな料理を提供する「セララバアド」や「ボンシュマン」で新しい技術を学んだ後、現在、八ヶ岳南麓にてオーベルジュの開業準備中。

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