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「適サシ肉」とは適度なサシの肉という意味で脱霜降りではないのです

公開日: : 2017/02/27 格付け, コラム

産経新聞に私のコメントも掲載されていたので少しこの話題に触れたいと思います。

元ネタは浅草の老舗すき焼き屋さんの「適サシ」宣言ですが、ご主人は今後のお店の方針を語ったまででそんなに大騒ぎするほどのことでもないように思います。そういってしまえば記事としては身も蓋もないのですが、そもそも「A5信仰」なるものはマスコミの煽りもかなり影響していて、牛肉や和牛だけを謳うより「A5」を冠にするほうがいかにもテレビ的だし、「A5=おいしい」という偏った情報が一人歩きしてきたのだと思うのです。それがインターネットや昨今のSNSによって消費者が情報を手元で操作できるようになり、些細なことでも話題になりやすい環境が生じているのです。畜産業界ではなにをいまさら的なことではありますが、業界の常識は非常識な面もあり、「A5信仰」に一石が投じられた形となったのも少なからずです。

格付けがどうとかBMSがどうとかは検索すればいくらでもでてきますので、あえて触れないでおきますが、この2~30年で格付けの評価基準が狭くなり脂肪含有率が倍になったという現状が在ります。つまり30年前はA5で評価されていた枝肉も現在ではA4だったりするわけです。そういった背景から過度なサシは行き過ぎではないかという声が以前からあったのです。質ではなく見た目の評価にこだわり、結果として共進会(牛のコンテストのようなもの)で好成績となり高く売れるのが畜産の世界です。

ビジネスですからいくらで売れたのかが生産者の評価であり対価です。生産者は消費者やレストランから評価をいただけることなんてありません。しかし、それは過去の話しであって、複雑だった流通経路も少しずつ透明化しつつあります。内臓はこれから先もブラックボックスで透明化する気配はありませんが・・・

話しを戻しますが、和牛というものはA2でも少なからず部位によってはサシが入ります。話題のすき焼き屋さんは、たくさんサシの入っていた肉からもう少しだけ軽いサシの肉に変えますよと言っているだけなのです。ですから急に赤身に路線変更したわけではないのです。少し脱線しますが、A5で赤身を謳っている店もありますが、これすら見方によっては意義ありになってしまうのです。たとえばA5でBMSが12もあればモモでも眩しいくらいサシが入ります。「モモ=赤身」だと思い込んでいる方にハイ赤身ですと出された日にはクレームになりかねません。

多様性の時代ですからサシが好みの人もいれば硬い肉が好みの人もいるでしょうし、プロの料理人だって求める肉はみな違うのです。知ってほしいのは「格付け=おいしさ」の指標ではないということであり、サシがあろうがなかろうがそれが牛の個性であり嫌なら食べなければいいのです。

先日、銀行の方(当社の担当さん@女性)が来店されてモモのステーキ肉を買われたのです。翌日に「近江牛で赤身ってあるんですね、柔らかくておいしかった」と感想をいただいたのですが、「近江牛=サシ肉」と思い込んでいた彼女にとっては驚きだったようです。近江牛でもサシが入った部位もあればそうじゃない部位もあり、それらを判断する指標が格付けなのです。消費者の知識って我々専門職が思っている以上に何も知らない、知らされていないのです。

まずは、情報に振り回されず、自分の口に合う店を見つけ、自分の口に合う人と近しくなることが幸せな食に繋がると思うのですが・・・。

 

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