9/6発売のdancyuは新保吉伸特集です
公開日:
:
2018/09/06
メディア
ときどき雑誌や新聞、テレビで取り上げていただくことがあります。内容は僕が扱う牛肉や豚肉であったり、根っこにある生産者のことであったり、サカエヤの取り組みであったり、星の数ほどある肉屋のなかからよくぞ滋賀の田舎者を探していただいたと驚きと感謝しかありません。
僕は19歳で肉の世界に入り、26歳で独立しました。そのときに肉の仕事を一生かけてやり切ろうと覚悟を決めました。肉の世界に入ったのも独立したのも早かったので、他の職を経験していません。もともと不器用なので肉のこと以外は何一つできませんし常識も欠落した部分があります。学歴もなければ趣味もありません。だからというわけでもないのですが、せめて肉だけは道を外れずに真っ当に清く正しくやってきたつもりです。肉に嘘をつくことは僕の存在価値そのものを自ら否定しているようなものですから。
独立して最初の肉屋は、2階建てアパートのテナントでした。3軒並びでうちが真中。右隣が喫茶店で左隣が新聞屋。潰れかけた肉屋を500万で引き取ってのスタートでした。じつは巧妙な手口で騙されたのですが、なんとか9年間やりました。2店舗目は自力で建てて20年やりました。そして昨年の9月に現店舗に移転しました。トータルで30年ですが、大きくはなにも変わっていません。枝肉仕入れて、捌いて、手当てして精肉にする。僕の仕事の基本はゆっくり時間をかけて肉を育てることです。
うちのお客さんは口ぐちに新保さんの肉はおいしいと言ってくれます。一番嬉しい瞬間ですが、特別なことは何もしていません。30年間、毎日同じことを繰り返しやっているだけです。今日も明日も明後日も。店舗は移転するごとに大きくなりましたが中身は同じです。大きなビジネスに憧れることなく、同じことをやり続けています。それでも日々発見だらけです。肉に正解なんてありません。お客様がおいしいと評価してくれても明日もおいしいとは限らないですからいつも不安です。
「新保吉伸」って名前、小さな頃は嫌だったのですが今は気に入ってます。両親がつけてくれた名前ですからね。本日発売のdancyuに「新保吉伸」が9ページに渡って特集されています。僕をよく知ってくれている松浦さんが密着して書いてくれたので魂が揺さぶられる内容です。ちょっと照れくさいですがよろしければお買い求めください。
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