良い肉は良い脂と肉質
公開日:
:
2019/11/16
未分類 完全放牧野生牛ジビーフ
ジビーフのLボーン、良質な脂と肉質は触ればわかる
11月も半ばになりましたが、毎週のように開催される共進会(枝肉のコンテスト)で一気に年末モードです。僕の場合は、これから12月の第1週までに年末年始の仕入れを終えてしまいます。とは言うものの、この時期の枝肉は生産者が共進会用に仕上げたものばかりなのでA5発生率高し。しかもデカい。僕が理想とする基準が400kgまでなので、500kgとか600kgは対象外です。あまりにも大きな個体は肉に異変がおこっていることもあります。瑕疵も多い。瑕疵については、検索すればいろいろヒットしますが、ちょっと違う角度から近々書いてみたいと思っています。
ところで、
僕がA5の枝肉を買わないのは、僕なりの持論があり、ちゃんとした理由があります。じつはA5だけではなくサシが少ないA3もA2もこの時期は曲者揃いなんです。
ちょっと脱線しますね。みなさん、なにかしら体のこと気にしてますよね。だから運動したり、食べ物に気をつけたりしていると思いますが、僕の周りにはコレステロールたっぷり高尿酸値の方がたくさんいます。痛風予備軍だらけ(笑)、、そういう僕も持病があり医師からは痩せなきゃダメ、あと6キロ減量しなければ薬の効果もないですよ、なんて言われたこともあります。
先日、肉好きの医師と話していたときのこと、脂の話になったんですね。医師は医学的な側面から、僕は目利きとしての側面からみて、ほぼ同じ意見というか納得できる内容だったのです。どう考えても牛肉の脂がよくないと。もちろん良質な脂なら大丈夫です。じゃー、悪質と良質をどうやって見分けるのか、ということになります。
いまの和牛の脂は僕が修行してた20代の頃と比較してもまったくの別物です。理由はいくつかありますが、枝肉を吊るして脱骨して部位ごとに真空パックにして、、この時点で脂は劣化してしまいます。特にサシが多いA5の肉なんか見栄えは良いが、真空パックで日持ちさせてるものだからパックを開けてすぐに使わないと酸化臭がします。こうなると旨味が抜けて、もたれてしまうのです。
真空パックを否定しているわけではありませんが、便利さだけで使っている方が多く、理解して使えばもっとおいしい肉が提供できるのになぁ、、と思う場面によく出くわします。
モモ肉=赤身肉というのも誤解が生じやすいです。A5のモモ肉ともなればサシが入ります。スネにだってサシがはいります。一昔前ならサシがあればなんでもかんでもロースと表記していた店もあったくらいです。扱い方としては、サシが多ければロースと同じ。きっちり保存しないと脂が酸化して腐敗する箇所がでてきます。そうなると、結局はトリミングをたくさんするので原価率が悪くなります。
で、
僕がこだわるのは『良質な脂と肉質』です。だからA2でもA3でもC1の経産でも、変化が予想できないものは買わないです。ここでも勘違いしてほしくないのは、ただ吊るしておけばおいしくなる、とか、熟成庫へ入れておけばおいしくなるなんて有り得ません。ましてや、肉の表面が乾燥してそれらしくなると、いい感じだと思い込む人もいますが、そんなに簡単なものではありません。肉慣れしていない人が食べたらお腹壊しますよ。あと、免疫が低下しているときはぜったい食べない方がいいです。
ジビーフは脂がほとんどありませんが、水分をいかに調整するかで仕上がりが変わってきます。手当ては読んで字のごとく、人の手で触って感じて、おいしくなるように念じながら仕事してやること。11月は1年でいちばん牛が揃います。だからこそ、しっかり目利きして、だれに届けるのか、ここがブレなければ僕の場合、そうそう失敗はしないのです。
僕の体は変なもの食べるとすぐにブツブツができたり口の中が切れたりします。調味料によっては舌も痺れます。良いのか悪いのか、自分が食べれない肉は売らないのがいちばんの安全じゃないかな、、と思っています。
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