せたな町村上農場さんのブラウンスイス牛、いい感じで仕上がりました
昨年の11月に北海道せたな町の村上牧場さんからお預かりしていたブラウンスイス牛(去勢)。写真のサーロインは20日間熟成させてすでに村上農場さんへお返ししたのですが、SAGURAの村井さんの感想では上々でした。
↓
肉が村上さんから届き、 食べました! 香りの乗りかたが、また一味違うように感じました! 僕はすごく好きです! ありがとうございます! 今まで何度か村上牧場の牛食べてますが、個人的にすごく相性がいいように感じました!凄いですね、ただただ感服したしました! なんか長時間かけて焼くのも素晴らしいと思うんですが、ガーって焼いて仕上げても、かえってソレが活きる気がします。 本当にありがとうございます!
↑
村井さんにそう言っていただくとお預かりした甲斐があるというもの。でもね、僕がもう少し先方の加工業者に正確な指示をすればよかったのですが、脊髄を取り除き、アバラのみの骨付きでは熟成できないんです。
赤いマーカーのところが骨です。本来ならオレンジのマーカーのところも骨をつけておかないと熟成はできないのです。だから写真でも確認できるように青いマーカーのところは酸化して腐敗が進んでいます。こうなると焼いても酸化臭がしておいしくないのです。巷に出回っている熟成肉の大半がこのパターンです。つまり、骨付きでなければ熟成はできないということです。骨のない肉でもカビが付着してそれらしくはなりますよ。でもね、とっても危険です。酸化したところをトリミングすれば問題なく食べられますが、いきすぎた肉はお腹を壊すことになりかねませんよ。熟成肉を食べてお腹を壊した方いると思いますが、こういうことが原因なんです。
さて、酸化が始まったので急いでトリミングしたのがこちらです↑
酸化に気づかず長期熟成してしまうとこうはなりません。村上農場さんへお返ししたのはこの状態です。北海道なので2日の輸送がかかりますが、届いた頃がちょうど食べごろです。さぞおいしかったことでしょう(笑)
サーロインはアバラの骨が肉の上にちょこんと乗っかっただけでしたが、リブロースは骨を残してくれていたので良い感じに仕上がりました。
今日で43日目です。このままお返ししたいところですが、扱いに困ると思いますので、骨を外してトリミングした状態でお返しします。
短期熟成のサーロインと比べると肉色が濃いでしょう。両端を試食したのですが熟成香が強かったです。中心に近づくにつれ旨味も感じやすくなるので、うまく仕上がったかな。熟成したからって繊維を砕いていないのでそれほど柔らかくはないんです。ほどよく柔らかくが食感としても飽きないですしね。
サーロイン側(左)とリブロースです。サーロイン側はどうしても熟成香を強く感じます。一方、リブロースは脂が入る分、肉質柔らかく食べやすいですね。同じ部位で2つの味が楽しめるのも熟成のおもしろいところです。
食べるのは数分ですが、育てて仕上げるのは時間がかかります。そこにやりがいを見いだせない人が熟成やってもうまくいかないんじゃないかな。どんな仕事でも同じですよね。肉を通してそんなことを思ったり感じたり、そして教えてもらったり。
関連記事
-
-
ドライエージングビーフにもストーリーが必要だと思うのです
日本初上陸の「ウルフギャング」へ行ってきた。ニューヨークやワイキキ、マイアミ、ビバリーヒルズ
-
-
驚くほどあっさり、そして旨味がたっぷりの経産牛の熟成肉
65ヶ月齢の近江牛@後藤牧場(手前)、北海道産交雑種のランプ(奥)[/caption] H1
-
-
ステーキ・レボリューション10月17日から全国順次ロードショー
フランスのナントにあるラ バレ ベルト牧場は、シンメンタールというスイス原産の白茶色の牛(母
-
-
熟成肉のTボーンステーキが食べられますぞ
昨日は、駒沢のイルジョットですばらしいイベントが開催されました。 新保吉伸(サカエヤ)