エシカル・ソーシング(Ethical Sourcing)という考え方
公開日:
:
2011/11/02
雑記
12月8日に、経産省の委託事業で
「情報モラル啓発セミナー 東京」が開催される。
詳細はこちら(→クリック)
タイトルからして堅苦しいセミナーのように感じるが
なぜか私が登壇することに。
とは言っても、私は肉の話しかできないので
畜産業界の過去から現状、未来についてや、私が取り組んでいること
生産者を取り巻く環境について、お話しさせていただく予定だ。
いつも話している内容なら直前の見なおし程度でいいのだが
今回は情報モラルに沿ったレジメを作成する必要があり
現在、資料をまとめている最中だ。
そんななか、「エシカル」という言葉が浮かんだのだが
どこで聞いたのかがさっぱり思い出せないまま数日が過ぎた。
昨夜、書きなぐったノートを見なおすと
「エシカル」はやまけんさんから聞いたことが分かった。
読み返してみると、なるほど、来月の講演内容にピッタリではないか!
さっそく、レジメに加えることにした。
エシカルについて、少し説明すると
エシカルとは、「買い叩いていない商品」ということだ。
欧米ではエシカル・ソーシング(Ethical Sourcing)という考え方があって、
倫理的な調達(仕入)が潮流で、相手企業や国の環境に課題な負荷をかけたり、
低賃金に貶めたりしてはいけないという考え方だ。
意味合いはフェアトレードと同じだ。
放射性セシウムの影響がいまなお続いているが
一時、牛肉の相場は暴落し生産農家は廃業に追い込まれるほど
深刻になりつつあった。
消費者の牛肉離れも深刻で、
風評被害の恐ろしさを改めて知ることになった。
第一次産業の産品を叩きまくって仕入れていたスーパーも
なにか事件がおこればバッサリと切り捨ててしまう。
「企業間取引」とはこんなものなのかも知れないが
我が身を守るのに精一杯というところだろう。
2001年のBSE後、BtoBの取引が激減したのをきっかけに
問屋からの仕入れを見なおし、生産農家との直取引に切り替えた。
「取引」から「取り組み」へ
つまりは、「協働」だ。
そして、営業部門は撤廃しBtoBはネット経由にした。
「会う営業」から「会わない営業」へ
2004年頃からよく使っていた講演タイトルだ。
この頃から業務用の引き合いがあっても
同じ価値観であり、共有できるところとだけ付き合うようにしてきた。
震災以降、放射性セシウムの問題で仕入れ先を見直し中という
全国の飲食店から問い合わせが急増している。
牛が食べてる飼料、環境、生産者はどんな人なのか?
最終的には、格付けや等級ありきではなく
取り組みに“共感”してくれる方とのお付き合いになるのだが
自分の都合だけで商品を買求めると、結局は生産者に負担がかかってしまう。
それよりも、一緒に取り組んだ結果の牛肉であれば、そこにストーリーが描け
商品にも付加価値がつくというもの。
安いモノを求めることは、けっして悪いことではないが
だれもが消費者であり、なんらかの職業に就いている限りは
だれもが生産者でもある。
小売店で気軽にモノが買える現在では
そこに生産者の顔を見ることはない。
仕方のないことだが、安さばかりを求めてしまうと
特に食の世界では、悲劇が起こりかねない。
震災以降、消費者の安全への問い合わせが増えているが
エシカルな肉が求められる時代がそこまで来ていることは確かだ。
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