ブームに左右されない息の長い商品
公開日:
:
2012/05/24
近江牛
食べるラー油の次は塩麹が流行っているが
ブームの陰には必ず火付け役がいる。
私も肉に漬け込んで試してみたのだがおいしかった。
しかし、商品化するには問題が多く、自分で楽しむ程度で落ち着いている。
みそ漬けのようにブームにこそならないが
息の長い商品になるには無理があるようだ。
「塩麹」が一気に普段使いの調味料と同じような扱いになってしまうと
当然ながら生産が追いつかなくなる。
業界全体も活性化して一時は良いのだが、いかんせんブームであればそのうち飽きられる。
ダイエット関連は特にその傾向が強い。
ところで、全国どこへ行っても特産品や地域ブランドは人気がある。
そこでしか買えないものは観光客にとっても記念の品として手にとることが多い。
では、なぜ地域の特産品や地域ブランドが人気なのか?
それは、もともとが希少価値であり、 手造りであり、おまけに手間がかかっていて、
なんといっても原料がその地域でしかとれないからだ。
ただ、地域の特産品の欠点というか難点は
NB(ナショナルブランド)のように大量生産ができないことだ。
たとえば、当店の近江牛カレーやハンバーグは
毎日ということもないが、それでも頻繁に大手スーパーなどからの取引依頼がある。
願ったり叶ったりなのだが、数少ない原料で作っているため
現実的には大量販売の取引には応じられないのだ。
もし、大量販売の取引きをやってしまったらどうなるのか?
例えば、テレビの番組などで紹介されたとしましょう。
もちろん番組内容や紹介のされ方にもよるのだが
商品はすぐに売り切れる、もしくは現場は生産に追われパニックになることが想像できる。
大手のようにコールセンターや設備、人材が整っていなかったらなおさらだ。
情報が拡大し、今度は量販店が目をつける。
小売店もスーパーでも扱いたいと問い合わせが増える。
そして取引きがはじまると、予想以上に売れてしまい
もともと限られた原料だから、しだいに商品(製品)が不足してしまう。
商品は、生産段階、加工段階、卸段階、小売段階 の順序を経て
消費者の元へ届けられる。
一旦取引きがはじまってしまうと欠品は許されない。
すると、流通過程の段階で何らかの増量行為や生産方法の変更(大量生産型)が
行われるようになってしまう。
結果、原料生産以上の商品が市場マーケットに並ぶということになる。
過去を遡れば、北九州市の百貨店に入店していた食肉店が「松阪牛」と偽って
九州産の牛肉を販売していたということがあった。
大阪の激安スーパーで輸入牛を「近江牛」として販売していた事件もあった。
地域ブランド品は、原料生産から加工、販売まで、地域に徹してこそのブランドであり、
それでこそ価値があるものだと思う。
販売量にあわせた生産システムではなく 、生産量にあわせた販売システムでなければ、
どんなに法が整備されても同じことが延々と繰り返されるのではないだろうか。
「近江牛」が全体的に品薄になることはあっても、なくなることはない。
しかし、当店のように生産者を指定して買い付けたり、熟成期間を設けている場合は
ときとしてご注文をいただいてもお待ちいただく場合がある。
さて、明日から木下牧場で30ヶ月間育ててもらった特別な肉が入荷します。
まずはロース系から販売開始です!
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