生産者ブランドの確率はサシよりもおいしさ、つまり「味」だ
公開日:
:
2012/09/11
雑記
久しぶりに「焼きすき」を堪能した。
鉄のプレートの上で薄切りのスライス肉を焼いてわりしたで食べるのだが
じつにうまい!2枚ほど食べた後にわりしたに卵を溶いて肉をくぐらせると絶品だ。
ところで、本日届いた牛肉関連の本にこんなことが書かれていた。
ある肉屋の主人にインタビューした内容だが、
「牝の黒毛和牛で、霜がきれいに入った牛肉というのは、流通する肉のうちの
たった3%しかありません。体型的には、肩が張って上半身の大きいプロポーションが、
肉がたくさんとれることになります。そして、霜がじっくり乗るのは、牛が肝臓をわるくする
寸前なのです。哀れなことではあります・・・・・。
うちでは、霜が入ったそういう肉を扱いたいんで、契約牧場をもっているくらいです」
つまり、肝臓を悪くするまで霜(サシ)を入れる育て方をしているということだ。
肥育段階で、ビタミンを欠乏させればサシが入りやすくなる。
しかし、やりすぎると当然だが牛に負担がかかる。
肢が腫れたり、瞳孔が開いたりとサシを入れる代償は大きいのだ。
そういった牛は、内臓、特に肝臓(レバー)をみればわかる。
筋が多くて硬い。あまりにもヒドいと食肉センターで廃棄になる。
私は、そういったサシが入った肉を扱いたいとは思わないが
そこは店主の考え方や店のポリシーがあるのだろう。
肉牛ジャーナルという業界紙がある。
今月号に、「生産と消費を結ぶ食肉業者」というタイトルで当店の特集を組んでもらった。
7ページにわたって私と生産者のインタビュー記事が掲載されている。
昨日から、当店でお買い物いただいたお客様に記事のコピーをお付けしているのだが
ご興味のある方は、ぜひお肉を買っていただきたい(笑)
黒毛和牛の世界は、肉にどれだけサシが入るかで価値が決まる。
そのために、生産者はこぞってサシを入れたがり、それが評価へと繋がる。
私は、契約している生産者にサシを入れないようにお願いしている。
それでも、サシは多かれ少なかれ入るのだ。それで十分だと思うし過度なサシは
食べてもおいしくない。
作る側も販売する側も、さらに消費者も「和牛=霜降り」が根強く、
もちろん、私はそれを否定するつもりは毛頭ないのだがここ最近事情が変わりつつある。
A5のセリ価格が以前よりも伸びないのだ。
それよりもA3の価格が異常なくらい高値で落札されている。
セリに参加しているのは問屋が大半なので、お客さん(肉屋やレストランなど)の需要が赤身に
シフトしはじめているのだと推測できる。
A3あたりの価値が高まり、高値で売れると生産者は非常に楽だ。
ストレスフリーな牛飼いができる。
しかしだ、すべてのA3が高値で動いているかと言えばそうではない。
ここに生産者ブランド(私がかってにそう言ってるだけだが)が存在する。
A3であれA5であれ、食べておいしくない牛肉は人気がないのだ。
そのあたりは購買者の目利きによるところなのだが百戦錬磨の目利きは甘くない。
生産者は、サシを入れることばかりに専念しないで、どうすればおいしい牛肉が
作れるのかを真剣に考えるべきだ。
そこに購買者が魅力を感じ、ブランドとして旗が立つのではないだろうか。
関連記事
-
農業高校の生徒たちが育てた豚肉は想像を遥かに超えたおいしさだった
ドライエージングビーフ(近江牛熟成肉)が売切れ中につき 問い合わせが殺到中だ。 殺到
-
おいしくするのは執念
携帯電話が鳴ると、なんとなく誰だかわかる。今朝、10時に携帯電話が鳴った。中島さん(際コーポ
-
謙虚さ、パッション、夢、この3つの〝食材〟が料理人にはなくてはならない
JR南草津駅から徒歩5分、サルティンボッカというイタリアンレストランがある。 木村シェフ(
-
日々いろんな肉が入荷してきますがA5もあればC1もありすべてに命がありおいしくなってほしいと願うのです
とある牧場から出荷された近江牛ですがちょっと様子が変です。雌の50カ月齢で経産ですが肉にする