*

私たちが食べている動物が何を食べているかで私たちの健康も決まります

公開日: : 2012/10/02 近江牛

P1000516.JPG

枝肉でドライエージングさせているのだが、白黴(シロカビ)が発生しているのが
お分かりいただけるだろうか。

「黴」と聞くと、聞こえはよくないのだが、白黴は筋肉内の水分によって増殖し
水分が少なくなると死滅するのでご安心を。

こういった写真は、肉関係の方は興味深く見ていただけるのだが
そうではない方にはキツイとのご意見を伺ったことがある。

ほな載せんなよ、て話ですが(笑)

先日、あるイベントに熟成肉を使うことになったのだが
さてだれに料理してもらおうか、ということで数名の料理人が手をあげてくれた。

みなさん経験豊富な方たちばかりなので、熟成肉焼くぐらい簡単なものという感じで
余裕しゃくしゃくなのだ。

豚肉を熟成させたことがありますから・・・
子羊を熟成したことがありますから・・・

しかし・・・

ドライエージングビーフはそんなに甘くない。

最近、いろなところで熟成肉の話を聞いたり質問されたりするのだが
レストランの厨房内で熟成させているケースが非常に多い。

先日も、ちょっと見てください、熟成に成功しました!
というので某所へ見にいったのだが、確かにそれなりの香りはしていた。
ただ、肉色は茶色っぽくネトが出ていた。つまり腐っているのだ。

売れる料理を作りたい、そんな思いから流行りの料理を取り入れ
気がつけば業態が変わってるやん、という店も少なくない。

経験と知識がなければ見よう見まねでできるほど甘くない。
自店の強みをみつけて磨きたおすことが賢明であり長続きするのだ。

特に熟成肉は、経験と知識に加えて設備がなければうまくいかない。
しかもドライエージングとなればなおさらである。

レストランの厨房内で簡易的に行われる熟成肉は、腐敗する可能性があり
万が一、お客様が食べて事故にでもなれば、ユッケ問題のように1店舗の問題ですまない。

さて、私も会員である日本ドライエイジング普及協会の会長、服部津貴子さん
(学校法人服部学園服部栄養料理研究会会長)が会のHPにこんなことを書かれている。

38年前に始まったアメリカの食育のスローガンは「食べたものが私自身、そして貴方自身です。
私の健康は何を食べたかで決まります」となっています。
食べたものがその人自身となっていきますので、「バランスの良い、安全な食べ物が大切なんだよ」ということを日本の食育でも教えています。私たちが食べている動物が何を食べているかで私たちの健康も決まります。

短い文章だが大切なメッセージが込められているように思います。
特に「私たちが食べている動物が何を食べているのか」という点においては、
先に開催したプレミア近江牛がまさにそうであり、見えない輸入飼料に依存せずに、
目に見える国産飼料を食べさせて育てるという取組みが今後も注目されると思う。

ということで、少し関連したセミナーをご案内させていただきます。

【11/13日本産肉研究会 第10回学術集会】

11月13日に京都にて、「日本産肉研究会」のシンポジウムが開催されます。
一般参加もOKなので、ぜひご来場いただければうれしいです。

2012年11月13日(火)
「日本産肉研究会」第10回秋季集会
会場:キャンパスプラザ京都 第3講義室
京都市下京区西洞院通塩小路下る JR京都駅ビル駐車場西側 077-353-9111

1部 14:00~18:00
テーマ 「牛肉の価値を再構築する」

(1)分子栄養学の観点からお肉を食べよう
定真理子 (新宿溝口クリニック)
(2)給与飼料の違いによる牛肉の種々の違いを考える
佐藤健司(京都府立大学 大学院生命環境科学研究科 教授)
(3)牛肉の新しいブランド戦略
新保吉伸 (株式会社 サカエヤ)
(4)ふる里と人を育てる牛肉のエシカルな評価基準を考える
熊谷元(京都大学 大学院農学研究科 准教授)

2部 19:00~21:00 交流会(19:00~21:00)

テーマ:放牧や自給飼料で育った各地の牛肉の食べ比べ
草原短角牛(東北大)、北里八雲牛(北里大)、有機短角アップルビーフ(弘前大)
放牧仕上げの熟ビーフ、グラスフェッドの黒毛和牛(九州大学)、近江長寿牛・・・

会場:きたやま南山
会費:5,000円(90名になり次第締め切り)
075-722-4131

【11/14 日本産肉研究会 第10回学術集会 現地検討会】

日 時:2012年11月14日(水)
9:30~12:00(9:15集合)
集合場所:和牛焼肉きたやま南山
見学先:滋賀県・木下牧場 繁殖肥育一貫農家による「近江牛粗飼料生産組合」の取り組み
参加費:無料  (マイクロバス定員20名)  ◎自家用車による参加はできません。
※近畿地域マッチングフォーラム側にも現地見学会の参加枠があります。
昼 食:希望者のみ2,000円
琵琶湖畔「プレーゴ」 木下牧場の近江牛ランチ

記事が気に入ったらシェアをしてね

  • twitter
  • facebook
  • google+
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

no image

2011年10月18日のつぶやき

omigyucom / 近江牛.com|新保 吉伸2011年10月17日のつぶやき | http:/

記事を読む

おいしくするための枝枯らし

最近「枝枯らし」という言葉をよく耳にします。枝肉を仕入れて捌き(脱骨)をしている食肉関係者に

記事を読む

肉屋としての僕の考え方

和牛の最高峰は言わずと知れた「A5」ですが、A5のなかでも5段階あって8〜12の数字で区別されます。

記事を読む

対照的な牛2頭はコザシの近江牛と赤身が詰まったジビーフ

9月14日にと畜した後藤牧場さんの近江牛(A-4)ですが、サシが細かく入っていて見るからにお

記事を読む

600kg超えの枝肉からとれたウチヒラは見た目キレイだが・・・

問屋さんからウチヒラ1個貰いまして(正確には買ったのですが)、なんのためかと言うと勉強のため

記事を読む

和牛・牛肉通販 近江牛.com

https://www.omi-gyu.com
仕事の奥深さ

本日から11月、しかし一年あっという間でなんか怖いですね。同級生ですで

所作

写真は、昨夜、BRUSTAで食べた近江牛ウチヒラ。西山さんはワ

今月のジビーフも2頭入荷しています

↑ はるか 今月も2頭のジビーフが入荷してきました。「はる

→もっと見る

  • 2024年11月
     12
    3456789
    10111213141516
    17181920212223
    24252627282930