藁の収穫がはじまりました
公開日:
:
2012/10/13
雑記
牛が食べる藁の収穫がはじまった。
写真は遊んでいるわけではなく、広大な田んぼは歩くだけでも体力を奪われるので
こうやって移動するのだ。
この日は、後藤牧場さんの藁集めにサルティンボッカの木村シェフが参加。
牧場を見るだけではなく作業をお手伝いする料理人はそうそういないと思うのだが
そういった体験が肉を大切に扱い、しいてはおいしい料理が作れるのではないかと思う。
有名シェフが作る料理でも、拍子抜けするほどおいしくないものがある。
もちろん味は人それぞれで、おいしいと思う人もいるだろう。
しかし、愛というか作り手の想いのようなものが感じられない皿は笑顔になれない。
ところで、枝肉の評価は格付けだが、消費者から見た精肉の評価は、まずは見た目の美しさであり、
そして食感(やわらかさ)で決められる。
一方、より安全でより体に良いものを求めると「牛が何を食べているかで私たちの健康も決まる」
ということに行き着く。
安全や健康を考えて飼育すると市場では評価されない牛に仕上がることが多く
逆に、牛に負担をかけるような飼育をして格付けにこだわれば、見た目のよい
柔らかい肉質の牛ができあがる。
安全でおいしい牛肉が理想ではあるが、現状、安全を求めた飼育をすれば飼料が高くつき
格付けは低く、市場では評価されない牛に仕上がってしまう可能性が大きい。
つまり採算がとれない牛というわけだ。
さて、私たちの取り組みについては、サイトのいたるところに書いているので
ご存知の方も多いかと思うのだが、味は100点ではなくても安全性は100点を目指している。
たとえば、藁を例にとってみると、普通の刈り取りより稲の根元から高く刈っている。
理由は「肝蛭(かんてつ)」を予防するためである。
肝蛭は、牛の肝臓の胆管(胆汁が通る管)に寄生する虫で、巻き貝に発生する。
巻貝の幼虫が稲の根元に寄生していることがあるのだが牛には症状が現れることは少ない。
しかし、人に寄生すると胆管にかなりの炎症を起こし、発熱、吐き気、右腹の激痛、下痢などの
症状が見られる。
肝蛭をはじめ、様々な寄生虫を予防するために稲を根元から刈るのではなく、ある程度の長さを
残して刈り取り、さらに1年間藁を寝かせて熟成させている。
こうした取り組みにより寄生虫の予防ができるというわけなのだ。
このようにして、より安全性を高めるために牛に食べさせる藁の刈り取りから常に
安全と健康を考えているのです。
↓こちらは酢の粕だが、乾燥させたものを牛に与えると肉質がまろやかになる。
このように、私たちが日ごろ気にしながら食べているモノ以上に、牛たちには良い飼料を与えて
育てているのです。
最終的には、安全性100点、おいしさ100点になるようもっていきたい。
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