信頼関係が育む、サスティナブルな牛肉づくり
当店の契約牧場でもある木下牧場との取引は、相対と枝肉にしてからのセリの2通りで行っている。あえてセリに出すのは、市場価格をお互いが知った上での公平な取引をするためでもある。
サシを入れないようにお願いしていることもあり、今年は平均A3~A4の発生率が多く、私もお客様も満足している。
12月20日の年内最後の出荷後、木下さんから落胆したメールが携帯に送られてきた。
いつも格付けの結果が分かるとメールで報告してくれるのだが、この日はA5BMS8という結果だった。ちなみに12月10日の結果はA5BMS10だった。
通常、A5がでると生産者は大喜びするのだが、目指しているところがサシではないのであまり嬉しくないのだ。とはいっても血統的に自然に飼っていても、たまにこういった予期せぬ結果がおこることがある。
当然セリに出せばビッシリとサシが入った極上肉は引く手あまたなので、高値で落札される。生産者にとってはもちろん喜ばしいことには違いないのだが、私にとっては求めている肉とは違うのでうれしくない。。本当はA3でも共進会で落札されるA5あたりの価格で引き取ることができればいいのだが、まだまだ力不足で価格で支え切れていないのが本当のところだ。
来年の10月から自家産の粗飼料と国産飼料だけで育てたプレミア近江牛の出荷がはじまる。
A3であってもA2であっても、引き取り価格はA5レベルの価格で相対取引することが契約条件だ。
継続的に厳選された品質の牛肉を消費者に提供すると同時に、有益な条件で生産者を支援することが風通しの良い関係を持続でき、安定した品質を追求し続けることで、関わるすべての方に有益がもたらせれる共通価値の創造を目指している。
私たちの取り組みを良しとしない生産者を含む畜産関係者も多いと聞く。
そりゃそうだろう、サシを入れることに懸命になっている生産者にとってみれば、我々がやっていることは摩訶不思議であり、あほの極致でしかないのだから。
だって、生産者(牛飼い)は、肉にサシを入れて高評価を得ることがすべてだと思っている人が圧倒的に多い。特に和牛の肥育農家はそういった思いが強い。
なにも否定するつもりは毛頭ないが、サシ一辺倒の肥育から違う価値観を求める動きが確実に生まれていることは現実であり、2極化してきているのは生産者も販売者も感じているはずだ。
ただ、高く売るためにはサシを入れなければいけない現実も理解できるし、そのために牛に負担がかかっていることも現実問題として私は素直に受け入れることができない。
どちらにしても、これからもサスティナブルな牛肉づくりを生産者と共に築いていきたいし、結果として、その取り組みが生産者の生活水準の向上につながれば言うことない。
ということで、木下牧場のサシがたくさん入ったA5の近江牛が本日から販売開始です。
おすすめは、サーロインステーキ、早朝からこの肉の試食はキツかったが意外とあっさりしていてうまかった。じっくり焼けば200gは完食できるかも。
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