牛肉関係者はA5よりA3あたりの肉を食べている
マーク・シャッカーというカナダ人が書いた「ステーキ!」という本がある。
人はなぜステーキを食べる時に牛について熱く語らないのか 。
ワインを飲む時には、ぶどうの話を存分にするのに。
そんな疑問を感じたところから著者の壮大なる旅路が始まる。
本書で訪れた国は4大陸7ヵ国、45キロ分のステーキに舌鼓を打つことになる地球約10万キロ制覇の旅である。
日本は神戸と松阪に訪れている。神戸牛のA5サーロインを食べた時の感想がおもしろい。
特に脂の乗ったその肉は、よりカリカリッと仕上げるために石の上に置く時間が長くとられた。最後の一切れを口に入れると、唇をぎゅっと閉じておかないと脂がアゴを伝ってこぼれ落ちそうだった。石は、まるで千年過ごした熱々の牛脂の川底からすくい上げられたばかりのように黒光りしていた。僕はこの時点で、脂を食べ過ぎた時によく起こる現象、疲労と倦怠感、そして猛烈に愚かな気分と戦っていた。僕は、ミート・ハンガーと対極にあるベジタブル・ハンガーに陥っていた。生のキュウリが食べたい。ドレッシングのかかっていないサラダを今すぐ食べたい。
ミート・ハンガーというのは中毒症状のことだろう。
なるほど、うまいこと言うなぁと・・・
恐らくほとんどの方がサシの多い霜降り肉を食べすぎたときのことを思い出したんじゃないだろうか、うなずきながら(笑)
12月のセリは、共進会が開催されることもありA5の発生率が高い。生産者はここ1番の牛を12月に出荷するので、セリ場も華やかだ。キレイにサシの入った牛肉はまさに芸術品で、生産者の努力の賜物というもの。
しかし、生産者も肉屋をはじめとする購買者も肉好きが多い割には、普段はA5のサシが強く入った肉を食べていると聞いたことがない。恐らくA3あたりの少しサシが入った、どちらかと言えば赤身がちな肉をうまいうまいと言いながら食べているのだろう(笑)
ちなみに写真のサーロインはA3だが、これぐらいのサシなら食べやすい。
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