*

価値あるプライオリティ

公開日: : 2013/01/14 雑記

みずじ

食肉市場では、毎週月曜日と木曜日に近江牛のセリが開催される。
だれでも参加できるわけではなく、参加するには買参権が必要なのだ。

13時からセリが始まるので、30分前に準備室で枝肉の目利きをするのだが、出品牛の格付け表をもとに、後足の骨の太さ、ウチモモの張り、サシ、腎臓脂肪の大きさ、背脂肪の厚み、内面脂肪のノリ、ロース断面のかぶり、芯、バラ、皮下脂肪などを見ていく。

「牛肉はメスに限る」といわれてきたが、その傾向はいまも根強く、同じ格付けでもメスのほうが高値で落札されることが多い。ただ、肥育技術は年々進化、改善されており、去勢でも肉質の優れた良いものが出来ているのが私の見方です。

メス、去勢は、モモの付け根にある「乳房脂肪」(めす)と「陰嚢脂肪」(去勢)で見分けることができるのだが、個人的にはメス牛神話は抜きにして、大型化している去勢より小ぶりなメスが好みだ。味ウンヌンよりも、以前にも書いたが、600kg以上の枝肉がセリにかけられることが頻繁になりつつある現状、生産者の方には警笛を鳴らしたい。

大きくすれば思ったような評価がされなくても、枝重量で稼ごうという行為が見え隠れし、さらにサシを入れるために牛にかなり負担をかけていることは、精肉加工者からみれば一目瞭然なのだ。部位別に精肉にする段階において、整形していても思わぬところにスジがはいっていたり、あきらかに肉の形態に変化が見えることがある。

ところで、私は基本的に親しくしている生産者の枝肉でない限り、滅多なことでは購買しない。大半は契約牧場の木下さんの枝肉オンリーだが、私からお願いしていることもあり、A3、A4の発生率が多い。農家(生産者、牛飼い)からみれば、木下の腕が悪い、というあまりよろしくない評価が下される。

農家(生産者のこと)にとっての腕の良さとは、A5の牛を作ることであって、それ以外は論外的な見下し方をされるのだ。

そういった状況のなかで、価値あるプライオリティを決めていく木下さんには本当に感謝しているし、私は誇りに思う。

そんな木下さんの取り組みが、1月20日(日)午前6時15分からの、NHK「うまいっ!」で放送されます。ぜひご覧ください。

 

記事が気に入ったらシェアをしてね

  • twitter
  • facebook
  • google+
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

料理人と食材の相性について思うこと

昨日からセジールで販売しているジビーフのハンバーガー、かなり好評です!パンはシェフが毎朝焼い

記事を読む

これからの時代は「産地よりもだれから買うのか」にシフトする

牛肉を選ぶとき何を重要視したいですか?[/caption] 4月25日にきたやま南山にて開催

記事を読む

商品の背景にあるもの

スキレットで作った鶏肉のトマトクリーム煮 鶏肉は店舗で販売している鳥取県の大山どりです。

記事を読む

いよいよ牛肉は見た目の時代から味の時代へ

茂野さんが作った豚肉を使ったバーガーは絶品だった![/caption] 知り合った方が同じ年

記事を読む

吊るし捌きと置き捌き

骨を抜く作業を「捌き」と言いますが、大きく分けると吊るしたまま捌く方法と、まな板上で捌く方法

記事を読む

和牛・牛肉通販 近江牛.com

https://www.omi-gyu.com
仕事の奥深さ

本日から11月、しかし一年あっという間でなんか怖いですね。同級生ですで

所作

写真は、昨夜、BRUSTAで食べた近江牛ウチヒラ。西山さんはワ

今月のジビーフも2頭入荷しています

↑ はるか 今月も2頭のジビーフが入荷してきました。「はる

→もっと見る

  • 2024年11月
     12
    3456789
    10111213141516
    17181920212223
    24252627282930