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いよいよ牛肉は見た目の時代から味の時代へ

公開日: : 2013/02/25 雑記

茂野さんが作った豚肉を使ったバーガーは絶品だった!

茂野さんが作った豚肉を使ったバーガーは絶品だった!

知り合った方が同じ年だと分かった瞬間、妙にテンションがあがったり親しみを覚えてしまう。
先日知り合ったAさんは、大学を卒業して世界を旅し、やがて国の仕事に従事することになった。お互い学生時代にサッカー選手だったこともあり、サッカー談義で盛り上がった。

Aさんは、ブラジルにも住んでいたことがあり、言葉も堪能だ。国の仕事をしている関係なのか、ペレが来日した時に会って話したことがあるという。なんともうらやましい話を聞かされた。

同席していたBさんも同世代で、彼もまたワールドワイドなビジネスを展開している方だ。
5か国語を操り知識人でもある。

私はというと、学歴も乏しく、ましてや海外で仕事した経験もなく、言葉なんて日本語が少し(笑)話せる程度だ。

昨夜は、茂野さんのle 14e(ル・キャトーズィエム)へ行ってきた。
いろんな意味で感動した。そして肉のパワーは凄いぞ!と改めて実感した。

IMG_5377

写真は、近江牛ハラミ。高温で一気に焼き上げるので外はカリッとした食感で、中はミディアムレアの状態。食感の高低が心地よく、そこへワインを流し込むと味が変化するから楽しい。

店内は満席で、私たち3名はカウンターで立ち飲み状態。これが意外と心地よい。茂野さんと対話できるのでここはle 14eの特等席だ。

Facebookに写真をアップすると、すぐにきたやま南山の楠本さんから電話がかかってきた。
いまから行くから席を確保するようにとの指令だ。肉食女子の強運なのかしばらくして席が空いた。

我々3名は、かなり食べた後なので入る余地はないはずだったのだが、楠本さん親子を加えた5名で熟成肉を堪能した。肉は糸北富士×照長土井の血統で145ヶ月齢の経産牛だが、熟成させていなければ歯が入らないほどの硬さで食べれる代物ではない。しかしドライエージングの力で大化けした肉は、さらに茂野さんの火入れによってものすごくおいしくなった。

パリに行ったことがない私たちは、おぉー、これがパリの味か、そんな匂いがする。などと田舎者まるだしの会話で、おそらく他の客から失笑されていたに違いない。

ところで、業務用の肉の問い合わせが、例のNHK「うまいッ!」の放送以来、増えている。
とりあえず見積りを、味が知りたいのでサンプルをといった要望が多い。

利き酒ならいざ知らず、肉のサンプルほど意味のないものはない。
牛には個体差があり、その都度、肉質も味も変化するのが当たり前で、たまたまサンプルの肉が希望に副ったものでも、次の肉がそうとは限らない。そのあたりを理解している飲食店は意外と少ない。だからこそ私は商品の品質を一定に保つために、つまりブレを最小限にするために生産者を限定してエサと環境にこだわっているのだ。

私が選ぶ肉ならなんでも良いから送ってほしいと言われるシェフが数人いる。
その方たちは、届いた肉の状態を見てから料理方法を決めたり、さらにはおいしくなるように寝かせたり火入れや道具を選んだり、とにかく工夫されるのだ。

個体差の違いを理解されているからこそではあるが、こういった経験値の豊富なシェフたちは、サンプルの無意味さをよく知っている。それよりも、いま目の前にある肉をどう調理するのかにわくわくしているのだ。

これを書いているたったいま、今日開催されるセリ情報がFAXされてきた。枝肉が675kgという重量の牛が上場されている。格付けはA5-8だ。

675kgの牛なんて一昔前ならあり得な重量だ。

わかりやすい言葉で書かせていただくと、つまりはこういうことなのだ。

サシが入りやすい血統の子牛を買い付けて、穀物たっぷり食べさせて運動させずに極限まで太らせる。しかも、サシを入れるために無茶なビタミンコントロールをして牛に負担を与える。その証拠にセリ前の上場明細には瑕疵にズル表示がある。ズルというのは筋肉の炎症でビタミンAを制限した牛によく見られる。

生産者は、1円でも高く売ることが生活を支える糧であり、そのために格付けにこだわるのだが、もちろん私も長く畜産業界に関わっているので理解はしているし反論するつもりはない。

しかし、そこまで(過度にという意味)サシを入れた肉が、支持されにくくなっている現状をなによりも生産者自身が知らな過ぎる。それがもっとも危険だと警告したい。

自分たちが作る肉はA5であっても、自分たちが常日頃食べている肉は・・・と消費者に質問されたら答えられるだろうか。私はいつまでもこういった制度が続くとは思えない。輸入牛肉との区別化のためには必要な制度ではあるが、近い将来、求めなくなる消費者が多くなりそうな予兆を感じる。いや、すでにそうなりつつある。

ボールは生産者や販売者が持っていると思っている方が非常に多い。
そんな時代はすでに終わっているのだ。

ボールをドリブルしているのは消費者だということに気がつかないと。

生産者は、イベントなどに積極的に参加して、消費者の声を直接聞くことも大事であり、消費者は率直な声を伝えてほしい。

・イベント情報
肉Meetsのお問い合わせをたくさんいただいておりますので、当店が開催するイベント(肉Meets)および私が協力させていただくイベントをご案内します。

2月27日(水):近江牛熟成肉と滋賀まるごとコース
場所 近江牛と地元野菜のダイニングMOO 【残席わずか】

3月4日(月):料理人3名による愛農ナチュラルポークバトルロワイヤル
場所:JAPANESE DINING RINTO(徳島市山城西3丁目41-1)【満席】

3月20日(水):愛農ナチュラルポークと熟成肉
場所:イル・ジョット (IL GiOTTO)東京駒沢 【満席】

4月4日(木):近江牛料理と熟成肉
場所:京都 シークレットイベント 【満席】

5月18日(土):近江牛と鉄のイベント
場所:COOK&DINE HAYAMA 【これから募集】
神奈川県三浦郡葉山

 

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