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6月18日、LE14eで開催の肉Meetsはすごいことになりそうな予感

公開日: : 2013/03/07 イベント

ラムシン400gは適度に柔らかくて食べ終わったあとも体が軽い

【サルティンボッカ:木下牧場のbistecca】ラムシン400gは適度に柔らかくて食べ終わったあとも体が軽い

飲食関係者の方々から問い合わせを多くいただくのだが、ありがたいことにブログをご覧になられている方が大半で、お話ししていても非常にスムーズで言葉のラリーが楽しい。

逆に、業務用の牛肉をインターネットで探してかたっぱしから電話をかけているような方は、とにかく値段の話しかしない。そしてお決まりのA5でいくらですか、A4ならいくらですか、といった価格一辺倒な会話に終始してしまう。そんなときは大変申し訳ないのだが、時間の無駄なのでさっさと電話を切らせていただく。

昨日は、茂野さんのLE14eへ出かけてきた。
F1(交雑種)のソトモモの脚に近い部分(とにかく硬くて商品化しにくい)を無理やり引き取ってもらったので気になって・・・

というのは建前で、茂野さんの表面はカリカリに中はジューシーにしっとりと焼き上げるステーキが急に食べたくなったからだ。

さて、肝心のソトモモだが、まるでテールと見間違うほどに姿形がよく似ていておいしく煮込まれていた。お隣のお客さんからも、おいしい、おいしいの声が何度も聞こえてきた。

フランスで修行時代に覚えた料理らしくて、名前を聞いたのだがその場ですぐに忘れてしまった。ジュポンショボンなんとかかんとか・・・と言っていたようだったが。

ただ、残念というか当然というか、このソトモモはドライエージングさせたものなのだが、ロースほどではないにしても生の状態ではナッツ香がしたのだが、長時間煮込んだことにより熟成香は完全に消えていた。恐らく香辛料も影響しているのだろうが、まぁ、それらを差し引いてもおいしかった。

ところで、この夜は私の行きあたりバッタリな性格がまた出てしまった。
帰ろうかなと思っていたところにethelvine(エーテルヴァィン)の江上さんがご来店。
彼とは歳は離れているものの(何歳か知らないが)私と考え方がよく似ていて、店舗で販売しているワインをお任せしている。

少し酔ってたせいもあり、なにかおもしろいことしよう、ということで盛り上がり、私が用意する肉と江上さんのワインで肉MeetsをLE14eで開催することが決まった。
第4回(5月まで)すでに決まっているので6月の開催となる。

熟成肉やらタンやらテールやら、とにかく全力で肉を揃えて茂野さんに料理してもらい、1品づつに江上さんがワインをチョイスするという贅沢なことをやろうかと企画しています。

茂野さんは16時からやろうとすでにやる気満々だったが、さすがに16時は早すぎるだろうと言うことで、とりあえず現時点で決まっていることをご案内させていただきます。

【第5回肉Meets in LE14e】
日時:2013年6月18日(火曜日)18:00~エンドレス
場所:LE14e
定員:15名(立食)
会費:現時点ではメニューが決まっていないので未定
募集:友人知人のみなさま、15名限定なのでぜひフライングゲットを
3/8現在で13名、あと2名の参加で終了とさせていただきます。

せっかくなので熟成肉の食べ比べや普段販売していない肉を集めようかと考えています。すごいことになりそうです。

そういえば、今日はやけに熟成肉に関する問い合わせが多くあり、ブログをご覧の方も多いということなのでいまいちど整理しておきたいと思います。

牛は屠畜すると筋肉が硬く収縮した状態になります。いわゆる死後硬直です。
枝肉のまま冷蔵庫で数日から数週間寝かせると、肉の内部でタンパク質が分解されてアミノ酸が生まれ旨味が増します。この状態を一般的に「熟成」と呼ぶのですが、現在ブームの熟成肉はドライエージングであり、このあたりが非常にややこしいのです。

肉はもともと酵素を持っていて、酵素はタンパク質を分解し旨味成分であるアミノ酸へと変化します。自分を自分で分解することから、生物学の世界では「自己消化」と呼んでいます。

畜産関係者(肉屋も含めて)がよく言う「熟成」とは、このことを指しているのですが、私が手掛けている熟成肉とはまったく違うものなのです。

まず、「自己消化」した枝肉を、温度と湿度、風、菌をコントロールしながら私の場合は、40日間、専用庫でドライエージングさせます。肉によっては60日程度様子を見ながら引き延ばすこともあります。熟成させる肉の条件は、骨付きであるということ。骨付きでないと肉が腐敗してしまいます。

このあたりを理解されていないと、骨を抜いた塊の肉を熟成させて腐らせるケースが非常に多いのです。当の本人たちがそのことに気がついていないことが問題ですが、事件が起こらないか長年真摯に取り組んでいる方々は懸念されているのです。

ドライエージングによる熟成肉は、科学的に解明されていないことが多くあるのですが、肉の表面にある種のカビが生えることで、肉内部の酸化が防止され、腐敗を進める菌の繁殖を抑える働きをしているのではないかと推測されます。

「寝かせる=熟成」、すなわち「自己消化」とは異なる内容のタンパク質、脂肪の分解により、赤身肉は繊維が分解されて柔らかくなり、深い風味と共にナッツのような香りを得ることができるのです。

これらのプロセスは、「熟成肉」と呼ばれてはいるものの、菌が繁殖して棲みついた専用庫(酒蔵のようなもの)で行われることから、「発酵」と呼ぶほうがふさわしいのではないかと思います。

先にも書いたが、発酵と腐敗は紙一重で、特に骨がついていない状態の肉を、普通の冷蔵庫で熟成まがいの行為をすれば、確実にそれは腐敗であり、臭いをかげばカビ臭がするはずです。

ブームに乗っかるのではなく、しっかりとした知識と設備、そして経験で赤身肉のおいしさを追求するドライエージングに取り組んでいただきたい。そして赤身肉のおいしい食べ方の一つとしてブームで終わらせずに、選択枠の1つとして定着させることができればと思っています。

 

 

 

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