熟成肉いろいろと仕上がっています
8月29日に開催する「肉Meets in 高知スルラクセ」で使う土佐あかうしのロースを熟成庫へ入れたのが6月29日、ジャスト10日目でリブロースのみ脱骨してスルラクセさんで試し焼きをしたのが7月10日だった。これといった変化はなく、もちろん熟成香も感じなかった。しかしながら土佐あかうしのおいしさだけは際立っていた。
私の考え(というかやり方)では、ドライエージングは骨付きでやるのが基本で、骨を外すと変色と腐敗がかなりのスピードで進んでしまう。骨を外したところから変色がはじまりネトがでて嫌なにおいがではじめるのだ。
最近レストランでよく見かける熟成肉は、骨を外した状態のものがほとんどだ。ウエットエージングの状態で塊の肉を仕入れて冷蔵庫で保管するというやり方だ。ウェットエージングとカタカナで表現するといかにも的でカッコいいのだが、要は使いやすさを優先させた真空パック流通というだけのこと。
真空パックの袋を破って肉塊を取り出すとドリップ(血汁)が流れ出すのだが、旨味まで一緒に流れてしまいそうで私はあまり好きになれない。ひとたび真空パック状態を開封してしまうと肉の腐敗はスピードを増し、精肉にすれば真空パックしたものとそうでないものとではあきらかに持ちが違う。そして一番異なるのは「味」なのだ。ということは、やはり旨味がドリップと一緒に流出していると考えても不思議ではない。
話しを戻すと、土佐あかうしリブロースの骨を外して22日目、10日目のときと比較してあきらかに変化が見られた。外見には細かなカビが付きはじめ熟成香も感じることができた。ちなみに骨付きの状態だと、カビは毛足の長いふわふわとしたものでこの点も骨付きと骨ナシでは大きく異なる。
通常、骨付きの状態で40日の熟成期間を要しているのだが、骨ナシだと20日程度で熟成してしまう。熟成の出来不出来は香で判断しているので骨ナシ状態のものをこれ以上熟成させても腐敗するだけであまり意味がない。
レストランなどで独自で熟成させている場合は、庫内に菌が発生していたとしても長期は肉にダメージを与えすぎるので良くないかも知れない。肉がカビ臭くなる前に使ったほうが無難だといえる。それと骨があった個所が茶色く変色、もしくはネバリが出はじめている場合は、熟成が進んでいるのではなくすでに腐り始めているのでこの場合も早く使ったほうが良いといえる。
とまぁ、あくまでも私の経験からの話しなので正しいかどうかはわからない。ドライエージング自体が科学的に検証できていないことが多いのだから。
現在、藤井牧場さんの経産牛が熟成庫で出荷待ちなのだが、あまりにもすばらしい出来栄えなので売りたくない(笑)
土佐あかうしの熟成肉も少しだけですが熟成庫で待機しているので、ご興味のある方がおられましたらご連絡ください。こちらは試食済みなので自信満々でおすすめさせていただきます。
明日は、鹿児島と熊本産の経産牛熟成肉が仕上がります。売切れているモモ肉も仕上がりますのでこれでようやくすべての熟成肉が再販となります。明日以降ですがよろしければどーぞ。
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