褒められたい生産者、喜ばれたい生産者
公開日:
:
2013/08/12
雑記
今日はある雑誌の企画で、さかえや店舗から木下牧場、再びさかえや店舗というコース。さかえや店舗から木下牧場までは約40分。琵琶湖沿いをひたすら真っ直ぐ走るだけですが、湖面がキラキラして気持ちいいのです。
関西の人気シェフが、何かに出会うことで新しい発想を得るまでを追うという企画内容。有名な雑誌で(名前を掲載してもいいのかどうか分からないので伏せておきます)カラー5P掲載というから力が入ります。編集長自らのお出ましです。
シェフは35歳でパリで修行したそうです。料理に対する考え方も心構えもしっかりしたものです。私が35歳のときなんて・・・と、ついつい比べてしまいますがろくなもんじゃありません。
シェフが私を質問攻めにして、近江牛の魅力や部位の特徴を探るというところから始まったのですが、内容はまったく違うものに(笑)、、、詳しくは本が発売されてから改めてご紹介させていただくとして、今日は生産者の話しがたくさんでたので少しだけ。
生産者こそ癖のある人が多いですね。とにかくよくしゃべる人(たとえば木下さん)、まったくしゃべらない人(たとえば藤井さん)。愛想がいい人、悪い人、いろんな方がいます。個性といってしまえばそれまでですが、なかには付き合いにくい人もいるわけです。
和牛の生産者は、サシをうまく入れられれば一流で、そうでなければ三流なのです。二流はないんです。つまり格付けで4等級、5等級を出さなければ仲間内で認めてもらえないのです。3等級ばかりだしていると鼻で笑われる世界なんです。
私のような購買者は、三等級以下を好んで買いますから、生産者からみれば、新保は安物しか買わん、といったレッテルを貼られているようなものです。おそらく性根の悪い生産者は陰でそう言ってることでしょう。なめるな、生産者よ!と言ってやりたいところですが所詮目指しているところが違うのです。
生産者にも2通りあって、「褒められたい生産者」と「喜ばれたい生産者」がいます。格付けで良い成績をだして共進会(競技会)で優秀賞をもらって褒められたい生産者、一方では、おいしかったことを伝えると満面の笑みでありがとうございますと深々と腰を折る生産者。どちらが正しいとかではなく、どちらも牛と向き合っている生産者には違いありまません。
でも、牛は敏感な動物で、夫婦げんかをしただけでも肉質に影響するのです。私は、家族が仲良く牛と共に暮らしている「喜ばれたい生産者」と一緒にやっていきたい、そして、そういう生産者と志の高い料理人をつなげていきたいと、今日の取材で改めて思った次第です。
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