熟成肉も料理人の腕次第でおいしくもなりマズくもなり

写真提供:T.MINAGAWA
熟成肉がブームになっているようですが、特に関東方面で熟成肉を謳っている店をみかける機会が多くなりました。関西は数えるほどで特に滋賀、京都に至ってはシゲさん(ル・キャトーズィエム)ところくらいですかね。シゲさんは、あえて熟成肉を謳っていないオトコマエなのですが、そういった変わり者(笑)が私は好きです。
ブームは群がって消えていくイメージなのですが、それでもホンモノは残るとは思います。でも、マスコミの煽(あお)り方次第かな、なんて思ったりします。先日、ある方の紹介で都内で熟成肉をいただいたのですが、私には合わなかったですね。肉自体はおいしかったのですが、シェフとの相性というか、火入れの具合が私の好みではなかったですね。
このように、料理ってシェフと客の相性がすごく大事だと思うのです。ちょっと流行ったからといってすぐに東京に進出して、本店の味を落としてしまう例も少なくはありません。人が育ち任せられるようになっても、客はそのシェフの料理が食べたくて来ているということを忘れてはいけません。事業拡大には避けては通れない問題ではありますが、どこに店の価値を見出すかでしょうね。
ドライエージングはなにも珍しいものではなく、その昔、肉屋の冷蔵庫がいまのように空冷ではなく水冷が主流だったころ、自然に菌が発生して枝肉にカビが付いていたのです。私が修行時代の記憶ですが、このころ嗅いだ甘い香りが、いま思えばドライエージング特有のナッツ香だったのかなと。一方、ウェットエージングは部位別に真空パックにした肉の塊を長期保存(30日程度)する方法で、私的には疑問だらけです。このあたりはまた別の機会に書くとして・・・。
写真は、駒沢のイルジョット高橋シェフが趣味(笑)で熟成させている肉ですが、お見事です。5/9にと畜され7/4にイルジョツト着という高橋シェフのプレートがマニアックすぎます。この肉は、平成17年に鹿児島県大島郡で産まれ、平成25年5月9日にと畜された経産牛です。私が40日間ドライエージングし、その後、高橋シェフが30日ちょっと熟成させたということになります。
高橋シェフの冷蔵庫には、私が手掛けた菌が付着してカビだらけの熟成肉がたくさん在庫されているので、非常に状態の良い菌床として成り立っているのです。
中はこんな感じで、とってもキレイな色をしています。かなり状態が良いことがうかがえるのですが、イルジョットではこれを炭火で焼き上げるから肉のポテンシャルが一気にあがるのです。
熟成肉が多く出回っていますが、いくら状態が良くても、それをおいしくするのは料理人の腕次第なのです。知識と経験だけでは埋められない、肉への狂おしいくらいの愛情がなければこれほどおいしくなってくれません。
高橋シェフは、熟成肉の塊を常連のお客様に見せるとき、「うちの子」という言い方をされます。まるで自分の子供を紹介するような口ぶりなんです。だからこそ、丁寧に熟成させて、おいしくなるようにおまじないをかけながら火を入れるのです。これでおいしくなければいったい誰が焼いた肉がおいしいの?って感じです。
さて、9月の肉Meetsは、4日がクレメンティア(満席御礼)、11日がイルジョット高橋シェフがきたやま南山にて野生のアンガス牛を料理する、「IL GIOTTO高橋直史 × 駒谷牧場 野生の牛を食す会 in きたやま南山」が開催されます。
あと少しだけお席のご用意ができますので、お時間のある方はFacebookのイベントページから、もしくは直接さかえや、または、きたやま南山へお電話ください。
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