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50歳から肉を意識的に食べて老化遅延

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写真は近江プレミアム牛の腕肉からとった「クリ」と「ミスジ」だが、同じ部位なのにこうも食感が違うものかと驚いた。しかしおいしいなぁ、ほんとに。使っていただいている数名の料理人から感想を聞くと、フレッシュで食べるよりも時間を置くほうが味に深みが増してよりおいしくなるとのこと。

時間が経つにつれて肉の酵素がたんぱく質によって分解されアミノ酸に変化するからだろうが、それにしても通常の近江牛よりもプロの料理人たちの評価が高い。私が思うにはエサだろう。牛は血統によってサシの入り具合が異なるがおいしさは関係ない。となるとエサがおいしさの要因を占める割合はかなり高いはず。あとは愛情かな。

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いまのところ近江プレミアム牛は月に1頭しか出荷できない。半頭はきたやま南山さんへ、もう半頭は私が信頼できるシェフたちの元へ。タイミングが合えば定期便の会員様にもこっそり入れさせていただくこともあります。

なぜか関東方面からのお問い合わせが多いのですが、残念ながら一般販売はしておりませんので駒沢の「イルジョット」、三軒茶屋の「レストラン愛と胃袋」へ足を運んでいただけるとうれしいです。

さて、当店のお肉は私がおいしいと思えるものだけを販売しています。おいしさの裏付けは私が生産から流通、そしてお肉になるまでのすべてに関わっているからです。近江プレミアム牛に関してはエサまで関わりを持っています。

間違ってほしくないのは「だからおいしい」ということではありません。枝肉になるまでが生産者の仕事とするならば、枝肉から熟成期間を経て、おいしくなるように仕上げるのが私の仕事なのです。

それでも、おいしくなかったとお叱りを受けることがあります。不思議ですが、同じ肉を買っていただいてるのに、一方ではすごくおいしかったと感想をいただき、もう一方ではおいしくなかったと感想をいただくことが稀にですがあります。

すべてのお客様に満足いただきたく全力を尽くしてはいるのですが100人に買っていただいて100人すべてに満足いただくことは正直むつかしいと思うのです。好みの問題もありますし保存方法や食べる環境によってもおいしさは変化するものです。

当店のおいしさの基準は、格付けとかブランドではなく私がおいしいと思った肉を販売することです。だからおいしくないと思った方は他の店で自分の口に合う肉を探していただいたほうが幸せなのです。生意気に聞こえるかも知れませんが、あくまでもおいしさの基準は私の口です。

私は現在52歳ですが、人間総合科学大学教授の熊谷修先生の科学的データに非常に興味がありまして、私たちの一生を「成長」、「成熟・安定」、「老化」と分けると50歳は「老化」のステージにあります。データからも50歳はあきらかに老化の加速領域に入りつつあります。

中学、高校の記憶が鮮明に蘇る頭を持っているのに、現実は52歳であり老化とは、、、トホホ

特に女性は、40代で徐々にエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌が減り、閉経を迎える50歳(日本人の平均)のころにエストロゲンの分泌はほぼ終了します。血管をはじめとする循環器系の組織を保護し、骨の形成を促す作用のあるエストロゲンが激減することで、女性は50歳ですでに老化の加速域です。

男性には女性ほど急激な体力の変化は見られませんが、白髪が増えてきたり、顔にシミやシワが目立ってきたり疲れやすくなるなどの変化が表れます。食べる量も40歳~70歳の間に25%減ります。食べる量が減り始める50代だからこそ、意識的に食事で栄養補給をして、体内のタンパク質を減らさないようにすることが大事なのです。

何も対策を立てず、自然な老化にまかせていれば食べる量は減り、その結果体内のタンパク質の量が減り、60代、70代で老化は加速します。また50代と60代は老化と病気の関係が逆転する時期です。30代、40代では生活習慣病など病気をすると、それがもとで老化がすすむことがあります。50代になると栄養状態が悪く、体の老化がすすむことが病気の原因になります。

50歳ごろはそういう時期なので、元気で充実した人生の後半を送るために、老化予防の食事にシフトする最適の年齢だと言えるのです。

ということで熊谷修先生は、50歳から肉を意識的に食べて老化遅延を唱えているのですが、せっかくなら質にも注目していただければと思うのです。安さや見た目を追い求めるのではなく良質な赤身肉を適度に食べていただきたいのです。

近江プレミアム牛に取り組むにあたり、まず苦労したのは(いまも苦労中ですが)牛が食べるエサです。自家産の牧草を中心に国産飼料100%は集めるのが大変。集まっても輸入飼料よりも高くビジネスとしてはまったく合いません。しかも日本の和牛の価格基準でもある格付けは評価の低いA2ばかり。これではだれも取り組みません。だってビジネスとして成立しないのですから、やればやるだけ損、つまり赤字です。

ただ、近江プレミアム牛は体にすーっと馴染むやさしい味なんです。サシのある肉を食べたときの重さやお腹いっぱい食べ終わったときの罪悪感(笑)はまったく感じません。金儲けには縁遠い牛ですが、私を信頼してくれている方々にはぜひ口に入れてほしいのです。共感してくれている料理人の方たちの想いも同じだと思います。

肉選びの基本は、自分が食べたいかどうか。肉を売るということは責任重大なのです。だからこそ自信が持てる肉しか売りたくないのです。私が選んだ肉が気にいらなければ他で買ってくれればいいというのは、こういうことなのです。

 

 

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