完全放牧野生牛を訪ねて様似へ
公開日:
:
2014/03/14
ジビーフ(完全放牧野生牛)
完全放牧野生牛は、すでにきたやま南山、レストラン愛と胃袋、イルジョットで料理していただき味は私の舌にしっかりおいしさを刻んではいるのですが、いかんせん背景が見えない。生産者の西川奈緒子さんには話しも伺っているしたくさんの資料もいただいているのでだいたいの想像はできます。
ただ、私の性格上、現地を見なけれがモヤモヤが続いてしまいそうのなで北海道様似町新富地区へ行くことに。行ってビックリ、想像以上のなにもないところで人口3人(西川さんご夫婦とお子さん1人)のすごいところだった。もちろん携帯電話もつながらない。
野生牛と聞くと食用として大丈夫なの?、、、と少々不安になりそうだが、ノラ牛ではなく管理下にある放牧牛なのでこの点はご心配なく。ただ、脱走しないように柵はしてあるものの、だだっ広い山の中を探すのは大変でちょっとしたサバイバル気分だ。200ヘクタールは広すぎる。
あまりにも雪が多くて、牛たちは山から下りてきているいるのだが、西川奈緒子さんが牛のキモチになって行けるところまで行ってみようと山歩きを提案。日頃のトレーニングの成果を見せる時だと意気込んだのだが雪道は甘くはなかった。
こんな感じで歩けどズボッと落とし穴にハマるがごとく埋まっていくのだ。これはキツイ。山間に枯れた笹を見つけたが野草を食べている完全放牧野生牛の姿を想像しながら気候の良い6月の再訪を誓ったのだった。
西川さんがなぜアンガス種を放牧させるに至ったかはこちらをご覧ください(→)
私が西川さんのアンガスに興味を持ったのは、西川さんの想いに共感するところがあり、それは現在の和牛の在り方と逆行することかも知れません。濃厚飼料でしか太れないように改良された和牛に年々魅力を感じられなくなり、前々から放牧飼育に興味があった私は、予備知識だけはとりあえず頭に叩き込んでいた。
サシ絶対主義の生産者の会話にもうんざりしていた。ステージごとに設計された和牛の飼養管理は育成期間に良質な牧草をたっぷり与え胃袋を大きくする。胃袋が大きくなれば食い込みが良くなり、穀物飼料をたっぷり与えて運動はさせない。動かない牛は筋肉の発達を抑えることで小さな筋肉と筋肉の間に脂肪が付く。これが「サシ」でありとろける肉なのだ。
西川さんは、本来の牛の生態系とはまったくかけ離れた飼育方法で牛肉を生産することに疑問を感じ、経営危機のなか手放した牛が多くいるなか、残った純粋アンガスの母牛8頭と、純粋なアンガスの種牛1頭だけに命をつないだ。
西川さんの挑戦は、本交によって授精し、生まれた子牛は好きな時に好きなだけ母乳を飲み、つまり、本来、草だけで生きる「野生の牛」を作ってみることだった。肉質は濃く、硬い肉を作る決意をしたのだった。イメージはジビエだ。
「完全放牧野生牛」という名前は私がイメージを膨らませてネーミングしたのだが、現地を訪ねて間違ってなかったことにホッとした。
完全放牧野生牛は、雪のなかでも走っていた。見るからに筋肉質で赤身率が高いのがよく分かる。高たんぱくで低脂肪。一部ではダイエットにニュージーランドの牧草牛が注目されているが私的にはNGだ。顔の見えない輸入肉はなんだか怖い。
お昼時ということもあり、西川さんに完全放牧野生牛のネックでハンバーグを作っていただいた。ふにゃふにゃの柔らかいだけのハンバーグではなく、しっかり噛みごたえのある旨味たっぷりのハンバーグでした。
そしてそして、本日、1月21日に熟成庫に入れた完全放牧野生牛が見事に仕上がりました。かなりいい感じです。サイトでも販売を予定していますのでお楽しみに!
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