イヌイットから連想する完全放牧野生牛
公開日:
:
2014/03/22
ジビーフ(完全放牧野生牛)
つい10日ほど前ですよ、、、この光景。
なんの足跡かな?、、、ウサギとキツネかな。とにかく大自然を体感しまくりです。いよいよ完全放牧野生牛お披露目会が迫ってきました。東京ではイルジョット@高橋シェフが仕込みに入っているようです。4月4日の開催に向けて滋賀ではサルティンボッカ@木村シェフが試食段階に入りました。肉Meetsはシェフの「挑戦」がテーマの1つでもあり、木村シェフは毎回、本番と同じメニューでまずは試食会を行い、微調整をくり返しながら味を調えていきます。使ったこともない食材に向き合う喜びと、それを口にしたときの食べ手の笑顔は料理人にとってなんともいえない至福の喜びだと思います。
あまり近寄って写真を撮ると威嚇してくるのでこれが限界。牛さんの目をよーく見ると目の玉が「-」になっているのが分かるかと思います。私の講演をお聞きになった方は何を言いたいのかお分かりかとおもいますが・・・まぁ、あまり書きすぎると叱られますのでこれくらいで(笑)
さて、完全放牧野生牛ですが、すでに三軒茶屋のレストラン愛と胃袋で信作シェフが挑戦してくださっています。私は信作シェフを魂の料理人と呼んでいるのですが、彼は背景ごと料理してしまうんです。ストーリーを思い浮かべながら時には涙を流し、そして愛情溢れる一皿を作り上げるのです。
レストラン愛と胃袋のお客様から写真をお借りしましたが、サシのかけらも感じられない「ザ・赤身」です。鹿肉と間違うほどの肉色ですね。歯ごたえも想像できます。ガシガシと野生の牛を感じながら様似(完全放牧野生牛が暮らしている場所)が浮かんできそうです。
沖縄のこくらクリニック渡辺先生は、こんなことを言っています。
400万年の人類の歴史では、狩猟による食生活がずっと続いていました。狩猟民族は、獲物を求めて移動しながら生活します。一部の人たちは、もともとの移住地であるアフリカ大陸を離れ、北側と南側のルートをたどってユーラシア大陸を目指します。北に向かった人たちは草木も生えていないほど寒いロシアに住みつきました。そこにはマンモスという食料があったからです。さらに東に進むとアラスカです。そこにはアザラシという食料がありました。その子孫が今のイヌイットです。
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私は以前からイヌイットの食生活に興味があり、できれば1ヵ月ほど一緒に暮らしたいと思っているのだ。ただ、寒さが苦手なので実現することはないと思うが、最近読んだ本に作家の椎名誠さんがこんなことを書いていた。
イヌイットは生肉を食べるのだが、それはクジラやアザラシからは油はとれるが、焼いて食べるほどの量はなく、生血を飲むしか方法がなかったのだ。クジラやアザラシの油は貴重なかれらの生活の明かりを灯すのに使われる。
肉を焼かないことによってビタミンの破壊はなく、野菜をまったく食べられない生活であってもビタミン不足で病気になることはなかった。
しかし、イヌイットの世界にも大きな変化が起きてきている。カナダのポンドインレットという人口3000人の村に、10年前に大きなスーパーが進出してきた。アザラシやカリブーの生肉のシンプルな食事をしてきた人たちの前に、突然カラフルで甘くてめくるめくような色彩のモノが溢れた。結果的にその村では今現在、肥満や心臓病、糖尿病などの成人病が急速に増え、社会問題にまで発展している。太り過ぎて着られなくなったシロクマの毛皮のポンチョは今は家の床に敷かれている。
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なんか、サシありきの和牛とダブらせてしまうのだが、焼肉屋さんで脂でテカテカした極上カルビを2枚ほど食べてお腹をさすっている方を見る度に考えさせられてしまう。
食の咆哮は人それぞれで私が関知することではないが、先日の社員研修で生きた牛を見た我が社の社員たちは、馬のように走る木下牧場の牛たちを見て何を感じただろうか。
完全放牧野生牛は、出荷頭数が少ないのでブレイクすることはないと思うが、私たちの先祖が口にしていた牛の肉はきっとこんな感じだったのではないだろうか。私が修行時代はいまのようにサシを重視する傾向はなかった。いつからだろうか・・・
先日、高知へ行ったときにタクシーの窓越しに「A5使用」という看板を掲げた焼肉店を見かけた。この店にとっては「こだわり」なのだろうが、お客さんはそれほど胸ときめくものではない。
とにかく、いまの畜産業界が向かっている方向性とは間逆の完全放牧野生牛、果たしてどのような評価を下してくださるのか。お披露目会が楽しみです。
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