ワイナリー和泉屋の新井治彦氏とコラボした近江プレミアム牛を食す会
スペインワインの大家、ワイナリー和泉屋の新井治彦氏とのコラボイベントが先斗町の佐曽羅EASTで開催されました。
この時期の先斗町といえば納涼床です。当然、今回のイベントも納涼床で鴨川を眺めながらの肉とワインに参加者は心馳せていた、、ハズ…..
連日の夏日和だったのですが、この日に限って雨という最悪のコンディションに落胆しながらもいまさら日程変更するわけにもいかず、無情にも降りしきる雨を横目に19時に会はスタートしたのでした。
1階と2階に分かれて席を用意させていただいたのですが、どうしてもまとまりは悪くなりますね。新井氏が選んだラインナップは以下のとおり。いやはや頑張りすぎですよ(笑)
〔泡〕
カバ・エスクトゥリト・ブリュット・ナチュレ
カバ・エスクトゥリト・ブリュット・ロサート
〔白〕
レイラーナ・アルバリーニョ・ バリッカ・新井セレクシ
トリオ・インフェルナル No.0/3 2011
〔赤〕
ギマロ・フィンカ・メイシェマン・セレクショナダ 2009
ミ・ティエラ 2008
クアトロ・パゴス・ヴィンテージ2009
クアトロ・パゴス・ヴィンテージ2009
お肉は、藤井牧場さんの近江プレミアム牛からサーロイン、ヒレ、ウチヒラの3部位を用意させていただきました。藤井さんは今回が近江プレミアム牛初出荷ということでドキドキです。参加者から忌憚のない意見を聞こうと内向的なご夫婦はめずらしく積極的に席を回っては話し込んでいる姿が印象的でした。
この日の参加者は、飲食関係者から大学の教授まで職業も年齢も幅広く、十分な接客はできませんでしたが、たくさんの感想や意見を聞くことができました。
私も食べるのはこの日が初めてで、率直な感想はすでに藤井さんに伝えてはいるのですが、枝重が小さかった(220kg)ことから、エサの与え方に問題があることが伺えます。国産飼料のみを給餌しているので、通常肥育に用いる穀物は与えていません。酒粕をきなこにまぶして与えたりしているのですが、小さくカットしてやらないと食べないのです。そういった工夫ができていなかったように思われます。
参加者からは、肉に水分が多すぎることが指摘されました。おそらく屠畜後11日目ということもあり、枝肉の状態で2週間程度吊るしておいてから脱骨すればある程度の水分は抜けるのではないかと予想されます。こちらも今後の課題です。
肝心の味ですが、通常肥育の近江牛(藤井さんの)より断然おいしかったです。肉質は経産牛の肉と間違うようなレベルでした。これは悪いことではなく、私たちにとってはプラスの材料です。
今年の牛肉界のトレンドは、「熟成肉」「赤身肉」ですが、発売中の某雑誌では「骨付き肉」にスポットをあてた特集が組まれていました。
米国産牛輸入規制緩和により、ふたたび骨付き肉が販売できるようになり、ウルフギャングやローリーズのみならず、国内の飲食チェーンもUS産の骨付き肉を扱い始めています。ブームの「熟成」をキーワードにネーミングした「熟成Tボーンステーキ」といった具合です。
先日オープンしたばかりだという熟成肉専門店を実際に見たのですが、路面に冷蔵庫を完備して通行人から見えるようにディスプレイしていました。熟成肉を謳い文句にしている店のほとんどがこのパターンで、勘違いしてほしくないのはこれらは熟成庫ではなく、ただディスプレーしているだけのショーケースだということです。冷蔵庫メーカーも熟成肉が作れますという触れ込みで営業しているところもあるようですが、ハッキリいってこの程度の冷蔵庫では熟成肉は作れません。
何度も言いますが、私がターゲットにしている熟成肉は、広い意味での熟成肉ではなく、ドライエージングによる熟成肉であり、ドライエージングビーフなのです。
出回っているほとんどが、ドライではなく、ウェットエージングによる熟成肉であり、本来ならウェットエージングは熟成肉とは呼ばないのです。じゃーなんて言うのか…ということですが、真空パックした肉です(笑)
畜産関係者では当然のごとく呼び名は「真空パックした肉」であり、段ボール箱に詰めて「ボックスミート」と呼ばれています。とにかく、これから夏にかけて様々な牛肉が出回ることは消費者にとってはありがたいことであり、安価なUSビーフは財布にもやさしく需要も多くなることでしょう。
しかし、どれだけ検査体制や仕組みを強化したところで、手をかけるのはいつの時代も人です。歴史を繰り返すことのないよう、食べ手がしっかり情報を見極めて信頼できる店、人とつながることを最優先してほしいものです。
私たちが取り組んでいる、近江プレミアム牛は、10年前に私と木下さんで始めました。そこへ飼料屋さんが参加し、料理人や消費者が共感してくれて、さらに大学の先生が加わり、少しずつですが広がりを見せています。愛農ナチュラルポークもしかり、ジビーフもしかりで大きなビジネスはできないし望んでいませんが、ブームに左右されることなくまったく違う価値観でこれからも共鳴し合える仲間と共に進めていければと思っています。
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