大阪北浜 エッサンシエル大東シェフが考えるBio
公開日:
:
2014/06/08
本
現在発売中の「料理王国」にエッサンシエル大東シェフの料理が掲載されている。愛農ナチュラルポークの肩ロースを使ったラッケだ。愛農ナチュラルポークは、新聞では何度か取り上げられたことがあるが、シェフの料理がこうして掲載されたのは初めてじゃないかな。
大東シェフは誌面を締めくくる言葉として、「子どもたちに安心できる食を残し、生産者を守っていく。第一線に立つ僕たち料理人が変えていく」と語っている。さらに「Bioであることは、生命を守ることである」と付け加えている。
エッサンシエルはカウンタースタイルなので細かなところまでお客様に見えてしまう。つまり、一瞬たりとも手を抜けないというわけだ。カウンターはむつかしい。京都あたりの和食屋さんでよく見かける10席未満のカウンター。大将が見習いの坊主を叱っている光景をよく目にする。そうなると店内には変な緊張感が流れ、料理を楽しむということができなくなってしまう。その後は大将が下の者に指示する言葉使いひとつでも機嫌の良し悪しを悟ってしまうようになる。
料理王国今号の特集は「Bio」だが、大東シェフは「Bio以外の食材も使うし、ワインもすべてBioというわけではない」と答えている。こういう考え方は私も賛成派なのだが、食材にしてもワインにしてもBioありきでやってしまうと宗教ぽくてちょっとひいてしまう。食材の背景はもちろんだが、生産者に共感し、なによりも料理する人や流通させる人がおいしいと感じるかどうかだと思うのです。
サシが入った和牛が好きなシェフもいれば、真っ赤な牧草牛を好きなシェフもいる。お客さんに合わせるのではなく、自分が好きな肉をおいしいと思ってくれるお客さんが集まる店でなければ楽しめないと思うのです。
私は、取引先をかなり選びますが、料理王国にも、愛農ナチュラルポークは新保が認めた料理人にしか卸さないみたいなことが書かれていました。生意気なヤツですね(笑)
でもね、私の商売のスタンスは、この人(シェフ)と話していて楽しいかどうかであり、大切な人にこのシェフの料理をすすめられるかどうかなのです。よく聞かれるんですよ。東京のどこそこで新保さんの肉が食べられる店を紹介してもらえませんか、、、って。そういうときに、あそこは料理人の腕が悪いし、あそこはおいしくないし、う~ん、困ったな、っておかしいじゃないですか。私の肉を使ってくれているシェフの店はすべて絶賛しておすすめできないとダメだと思うのです。だから、大切な人に紹介できないような店(シェフ)とは取引したくないのです。
プロのスポーツ選手も、体力の限界で引退する人もいますが、そういうこともひっくるめて、楽しめなくなったら終わり(引退)だと思うのです。私の考え方も、ビジネスとして考えれば理解されないかも知れません。お金だけのためにビジネスを続けることは私の性格ではできないのです。お金儲けのために肉屋をやっている人もいるでしょうが、おそらく、みんな牛や肉が好きなんじゃないかな。そうでなかったら肉屋なんて勤まらないと思うのです。結構ハードですしね。
おいしい肉を提供すれば、シェフや消費者の方は喜んでくれますが、私はその数倍楽しみたいと思っています。だから近江牛にこだわることなく、愛農ナチュラルポークやジビーフなど、ビジネスとしては成り立ちそうにない肉でもやるんです。おもしろいから。
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