熟成させたほうがうまくなる牛肉がうまい
熟成肉流行ってますねー、と言われることが多いのですが返事に困ります。「そうですね」としか言いようがないのですが、勘違いしてほしくないのは熟成肉がうまいのではなく、熟成させたほうがうまくなる牛肉がうまいのです(なんかややこしい表現)
「肉は熟成させると柔らかくなると共に、水分が徐々に抜けて味わいが凝縮してくる」ということをどれだけの人が理解できているのか。このことを大前提として骨付きで熟成させるのですが、肉によっては熟成させないほうがうまい場合もあります。このあたりを見極める眼が重要となります。仮に骨のない肉を熟成させるとどうなるのか。
おそらく業者から飲食店に納品される形態は、ウェットエージング(真空パックの肉)がほとんどだと思われますが、加工日からだいたい30日をメドに賞味期限がついています。パックのまま冷蔵庫で長期保存すればするほど、日持ちはしますが鮮度は確実に落ちていきます。しかも、真空パックを破ったときに流失する肉汁とともに旨味も損なうので、肉は味気ないものになってしまいます。
この状態で熟成させる方が非常に多いのですが、ハッキリ言ってできません。真空パックの肉は一旦袋から出してしまうと腐敗に向かっていくのです。
ところで、私が扱っているのは熟成肉ばかりではなく、フレッシュな肉もたくさん扱っています。どちらかといえばフレッショなもののほうが多いくらいです。熟成させたほうがおいしくなる肉は熟成庫へ入れるのですが、このあたりの見極めが私の仕事でもあり得意とするところでもあります。だから熟成肉ありきではなく、食べておいしいかったけどこの肉はどういう肉ですか? … という質問に対する答えが「熟成肉」であることがさりげないこだわりだと思うのです。
次に肉焼き。肉の大きさや脂の状態、肉のしまり具合などによって火加減をコントロールしながら焼き上げていくのが肉焼きの仕事であり、肉を知ってる人が焼くと感動するおいしさになるわけです。
2枚の写真は、見る人が見ればどこの店か分かるかと思いますが、フライパンにたっぷりの油を注ぎ、その中で肉を泳がせるように火を通していきます。表面に焦げ目をつけて旨味を閉じ込めるやり方だが、私は熟成肉のように香りを楽しむ肉にはこのやり方が最適だと思います。オーブンでやってしまうとどうしても香りが強くついてしまうのですが、揚げ焼きや炭火焼きはある程度香りが飛んでしまうので、熟成香が苦手な方にも喜んで食べていただけるのではないでしょうか。
さて、先週末に藤井牧場さんの近江プレミアム牛が屠畜されました。枝重は263.5kgで理想とする重量ではありませんでした。せめて300kg台には乗せたいものです。格付けはB2-2ですでこちらはバッチリです。穀物飼料は与えていないのでまぁこんなものでしょう。仕上げの10日間は梵(福井の地酒)の酒粕をたっぷり与えたので肉に影響がでているか楽しみです。
すでにご予約をいただいている部位もありますが、いまならある程度取り置き可能なのでご興味のある方はご連絡ください(業務用のみ)
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