求められる肉を作ることが生産者の本質だと思うのです
公開日:
:
2014/07/20
未分類
出張が多いので各地で食べ歩くことが楽しみの1つでもあります。ただ、どんなにすばらしい料理が目の前に出されても1人ではおいしさ半減といったところです。
ちょうど1週間前、知人が実店舗に遊びにきてくれたのですが、「熟成肉しかおいていないと思っていたのに他の肉もあるんですね」と驚いた様子でした。どうも熟成肉のイメージが強いようです。実際には熟成肉は全体の10%程度の取扱です。
私の仕事は、肉を見極めてどのタイミングで切り出すのがベストなのかを見分けることです。セリ落とした直後の枝肉なら、10日程度寝かせてから脱骨しますが、問屋から部分買い(部位を指定して買うこと)したものであれば、必ずバキュームパックされているので賞味期限の新しいものを仕入れてすぐに使うようにしています。バキュームパック内でドリップが溜まって脂に浸透すると味に影響してくるからですが、このあたりは使うサイクルにもよるでしょうし好みの問題かも知れません。
さて、自分が目利きした肉がどのように料理されているのか?… 私はすごく気になるので、できる限り出かけて食事するようにしています。もちろん行ける範囲内ですが、シェフの好みに合わせた肉を選ぶことがイコール私自身の勉強でもあります。
冒頭の写真は、あるレストランで提供されている木下牧場のウチヒラ(格付けはA4でBMS(霜降り度合)は12段階中7)ですがソースとの相性が絶妙ですごくおいしかったのです。ただ、私的にはもう少し赤身が強いほうがよりソースに合うのではないかと思い、ランクを下げた肉を提案させていただきました。モモといえどもA4になるとサシが入ってしまうのでコース料理の流れからA3でサシがないものがベストなんじゃないかなと感じた次第なのです。さらに、ワインがよくでる店ならマリアージュ的なことも考えながら肉選びをします。こういうときってすごく楽しいのです。
生産者の木下さんには頭を抱えることばかり言っては困らせていますが、求められている牛を作ることが牛飼いの本質だと思うのです。サシがたくさん入った肉を求められればA5を目指せばいいだろうし、赤身を求められればA2やA3を作ればいいのです(そんなにうまくいくはずないのですが)
ただ、木下さんの牛に限っては、格付けで欲しがる方(シェフや一般のお客様)はいませんので、とことん味にこだわって赤身を追求してほしいと思っています。買い支える仕組みはできているので霜降り信仰に縛られることなくのびのびとやってほしいものです。それが求められている使命であり役割なのです。
私に限っては、肉を送るだけではなく、実際に自分で食べてシェフと意見交換することで次につながることがたくさんあります。ありがたいことに私の肉を扱っていただいてるシェフは柔軟な方が多いので、思ったことを口にする私の性格も許されているようです(笑)
関連記事
-
住所、電話番号非公開の店でモツサンド
東京某所に女主人が一人で営業している店がある。本人は家庭料理だというがとんでもない。彼女の料
-
リムーザン牛をおいしくするために
約2年間、リムーザン牛とバザス牛を使い続けてきました。ある方に「フランスで食べるバザスやリム
-
1/24北海道オークリーフ牧場からホワイトヴィール(乳飲み仔牛)が入荷しました
フランスで見た牛肉で圧倒的に印象に残ったのがホワイトヴィール(乳飲み仔牛)です。正直言って和
-
肉を食す会の日程が決まりました
今朝の記事でお伝えしました、サルティンボッカでのイベントですが、 早速日程が決まりました。