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格付けの時代はそのうち終わるかも

公開日: : 2014/09/07 雑記

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先日、イルジョットにて食べ比べた肉たち。奥から黒毛和牛の経産牛(50日熟成)と手前が近江牛のサーロイン、右奥が近江プレミアム牛のシンタマです。

高橋シェフの技術によってどの肉も個性を引き出された感じでおいしかったのだが、手前の近江プレミアム牛は正直、サシが入りすぎ。赤身になるように育ててはいるのだが、血統が邪魔した結果こうなってしまったのだ。ただ、高橋シェフ曰く、脂に嫌みがないとのこと。確かに胃の中にスーッと流れていくような感じで重さは感じなかった。このあたりは牛に与えたエサと高橋シェフの火入れ技術によるところが大きいと思う。

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日本は「赤身肉ブーム」ですが、海外では空前の和牛ブームで国内市場はその煽りをもろに受け始めています。日本の赤身ブームは、ダイエット中に不足しがちな鉄分が補えたりすることからメディアが火をつけた感じがありますが、海外ではWAGYUとして数年前から霜降り肉に注目が集まり始めていました。簡単に言えば日本の技術を持ち込んで海外の牛を霜降りにするということですが、いよいよ真打(本物)の登場と言うわけです。

6月に日本から欧州連合(EU)への牛肉輸出が解禁され、日本のブランド牛が出回り始めたのですが、当然そうなると国内の牛不足が深刻になります。香港やマカオなどアジア進出あたりから枝肉相場がじわじわと上がり始め、EUへの輸出が解禁になってからは格付けに関係なく高値相場が続いています。今後もEU圏からの引き合いが強くなればなるほど枝肉だけではなく仔牛相場も大きく揺れ動くでしょうね。

ただ、国内の赤身ブームしかり、霜降り肉も最終的に残るのは「味」だと思うのです。いままでは霜降り一辺倒だったのが赤身が見直され、赤身から熟成肉に派生し、さらに骨付き肉やノンブランド牛にも注目が集まるようになると思うのです(個人的な希望でもありますが)

ここ最近の牛肉市場の動向を見てみると、まずA4とA5の相場が変わらなくなってきているという点です。さらにA3までもが高値で安定してくるとA3~A5の価格差がなくなってくると予測できます。つまり格付けの意味をなさなくなるということです。生産者はA5目指してサシを入れる肥育ではなく、いかにしてストレスを軽減して美味しくて味のある牛作りをやらなければならないか… これは私の願いも込めてのことですがこのように変化していくと思うのです。

さて、肉Meetsのご案内です。9月10日(水)に開催の「肉Meets in 瓢亭」ですが、キャンセルがでましたので1名ご参加可能です。ご興味のある方は当店までご連絡ください。間際のご案内ですがよろしくお願いします。

瓢亭さんといえば日本を代表する京料理の老舗。今回お料理を担当してくれるのは、瓢亭 15代若主人の高橋義弘さんです。

以前、なにかのインタビュー記事で「京料理とは何か?」という問いに、遠慮がちにも「日本の全文化の集約したものだと思います」と答えていたのが印象的でした。

人間にとって不可欠である「たべること」。どんなものを美味いといって食べるのか。高橋義弘さんは400年の伝統を守りつつ、新しいことにも果敢にチャレンジし、やまけんさん主催の「赤肉サミット」などで披露した肉焼きは業界の方々に高い評価を得ました。

4/18に、完全放牧野生牛と近江牛の熟成肉を焼いていただきましたが、イタリアンやフレンチのシェフとはまた違った視点、発想で私的には驚きと共にかなり新鮮でした。

印象としては、京料理に伝わる素材をいかした丁寧な仕事ぶりがお肉の扱い方にも伺うことができました。1つの料理に対してかなり時間をかけて作っていただいた愛溢れる料理はもちろん最高でした。一般の方々だけではなく、料理に携わる人もぜひ参加して交流していただきたいと思います

肉Meets in 瓢亭
■ 瓢亭 15代若主人 高橋義弘 × 新保吉伸 ■ 

・近江プレミアム牛のみすじ
国産飼料100%で育てています。近江米のくず米や福井の銘酒「梵」の酒粕を1日7kg給餌しています。

・木下牧場の近江牛(ラムシン)
みすじが霜降りなので赤身が強くて肉質が柔らかなラムシンをご用意させていただきました。

・ホワイトヴィールのランプ肉
北海道オークリーフ牧場のミルクフェッドの150日仔牛です。国内で流通しているほとんどの仔牛肉は外国産ですが、唯一まともなやり方で仔牛を出荷しているのがオークリーフ牧場です。

瓢亭さんで出される定番のお料理に加えて、上記の3品を高橋義弘さんがどのように料理してくれるのか、かなり楽しみです。

日 付:2014年9月10日(水)
時 間:18:30~22:00
会 場:瓢亭 本店
募集 :30名
会費 30,000円(飲み物は別)
京都府京都市左京区南禅寺草川町35 075-771-4116
http://hyotei.co.jp/

【瓢亭について】
創業天保8年(1837年) 14代続く老舗の料亭 「瓢亭」
瓢亭の歴史は約400年前にまでさかのぼり、南禅寺境の腰掛茶屋として創業。
幕末の元治元年(1864)に、当時の観光ガイドブックのような書物、『花洛名勝図会』に瓢亭が既に描かれており、
その絵が現在の店の姿に近いというのですから驚きです 。
当時のままの姿が守られています。

お隣には、一般公開されている美しい庭園の「無鄰庵」があります。無鄰庵も先ほどの花洛名勝図会に載っており、当時は丹後屋さんという湯豆腐屋だったそう。無鄰庵の庭園の池は近くを流れる琵琶湖疏水から水を引いていますが、瓢亭の池はこの無鄰庵から水を引いています。

この地は東海道の裏街道すじであったことから、旅人はここで旅衣を更え草鞋を新たにして、三条大橋へ向かったものでした。

近江牛といえば日本最古のブランド和牛です。その歴史は古く約400年も前に遡ります。くしくも瓢亭も400年の歴史がある老舗です。なにかが生れそうな、、、そんな気がします。どうぞご期待ください。

 

 

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