12月24日金沢にビステッカ・アルティジャ―ノOPEN!
公開日:
:
2014/12/14
グルメ
金沢の繁華街、片町に倫敦屋酒場(ロンドンヤバー)なる店があります。知る人ぞ知る、お酒好きなら行ったことはなくても名前くらいは知っているかと思われるその倫敦屋酒場の名物は御年68歳のマスター、戸田さんそのものです。もちろんアルコールもフードも抜群においしいのですが、マスターが私の肉を初めて食べたのが1年だったか2年だったか、おそらく3年も経ってはいないと思うのですが、マスターと私が親しくなったきっかけは「肉」だった。とにかく博学なマスターですから、肉のことも詳しくてニューヨークのどこそこの肉はどうとかこうとか言うわけです。まぁ、ここまでなら実際にニューヨークで肉を食べた人ならだれだって話せます。しかしマスターはもっと奥深く専門性に富んだことを話しかけてきたのです。
何度か倫敦屋を訪れるうちに、このマスターに私の肉を食べてもらいたいと、そんな気持ちがメラメラと燃えてきたわけです。マスターから、「期待を遥かに超えなければお客様は納得されない」というフレーズを何度も聞かされました。となるとマスターの期待を遥かに超えた肉を食べてもらわなければいけない。中途半端な肉なら見抜かれてしまう。そんな思いがありました。金沢から帰って2週間後だったと記憶していますが、抜群の熟成肉が仕上がったのでそれを送った。
その後も何度か倫敦屋へは行っているのだがそれ以降肉の話しは一切出なかった。いや、少しぐらいは出たかもしれないが送った肉は好みではなかったのだと思っていた。まぁ、それはそれで仕方のないことであって私はマスターが作るジントニックが好きなのでその後も金沢へ行くたびに倫敦屋を訪れた。
1年後、マスターから1通の手紙が届いた。まずは肉のお礼が書かれていた。そして、一口食べて衝撃が走ったと書かれていた。この味を金沢の人たちに伝えたいとも書かれていた。さらにマスターの想いが切々と書かれていて、最後に、倫敦屋の2階を改装して新保さんの熟成肉を焼く店を作りますと…はぁ?てな感じです。
設計図ができあがりましたのでようやく堂々と話すことができます。と最後に書かれていた。なにを言っているのかこの人は???
一口食べて感動したからといって何千万もかけて店を作るだろうか?仮に作ったとしても延長線上に私の肉があって、私の肉を焼くために店を作るというのはどうも信じられなかった。マスターいわく形ができるまではとらぬ狸の皮算用になるといけないので黙っていたとのことだったのだが…..。
その後、何度かマスターと話していくうちは少しずつ確信に変わっていった。この人は本当にやる気だ。しかしこんな人が本当にいるのだろうか。いや、目の前にいるではないか。よほど頭がおかしいか金が有り余っているか… まぁ、これは冗談だが漢気というか心意気というかマスターの本気度に私の心が揺さぶられた。
その後、焼き方を教わりたいと京都へやってきた。揚げ焼きでいきたいとのことなのでシトロンブレの長野シェフとLe14eのシゲさんにお願いして焼き方をレクチャーしていただいた。
その後…
11月にオープン予定だと聞いていたのだがいっこうに連絡がない。おそらくマスターの性格からして妥協を許さずこだわりまくって工事が延びているのだろうと思った。的中だった。
11月後半、マスターから一度来てほしいと何度か連絡があったものの行く予定だった日に列車が運休したり私の都合が合わなかったりで延び延びになってようやく12月13日に倫敦屋を訪ねた。
正直、驚いた。ここまでやるかという感じだ。マスターの口癖でもある「期待を遥かに超えなければお客様は満足しない」そのものだった。醸造所でワインを飲んで肉を食べるイメージだそうで、わざわざスペインから樽やタイルを取り寄せたそうだ。大きな樽を仕切りにして合計70席の巨大な店ができあがっていた。細部まで見渡したがここはケチったなという所が一切ない。
店名は、倫敦屋でいくのかと思いきや、ワインと分厚い赤身のステーキの店 『 ビステッカ・アルティジャ―ノ 』でいくとのこと。アルティジャ―ノとは職人という意味だそうだ。
店内に座ってイメージしてみたのだが、肉に合うワインだけではなく、ワインに合う肉もありで、金沢だけではなく全国から来ていただける名店の香りがすでに漂っていた。倫敦屋がそうであったようビステッカ・アルティジャ―ノもいつかは名店と呼ばれるようになるだろう。12月24日いよいよOPENです。
新保さんの肉を焼くために店を作ります。
ほんとうにそんなことをする人がこの世の中にいたなんていまだに信じられない。光栄だが店内に立つと身震いした。私こそが全身全霊で取り組まなければいけない。
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