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近江プレミアム牛の「枝枯らし」は伸びのある肉質と長く続く余韻が特徴です

公開日: : 2015/02/02 近江牛, 熟成肉

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友人に誘われて外食することが多い今日この頃。行き先はほぼ100%友人の知り合いがいるレストランです。最近は自分で探して行くということがほとんどなくなりました。評価サイトで点数上位の店は信憑性に欠けることが多いし、レビューは好みが色濃く出ているし、やっぱり友人知人の紹介が信頼性高いですね。

レストランでの楽しみは、食事はもちろんですがシェフやソムリエとの会話です。食材に直接触れながら料理している方々からは学ぶことが多く、1つ1つの皿にストーリーがありおいしさが倍増するのです。

ここ最近の私との会話はどうしても熟成肉の話が多くなります。誰一人として近江牛の話しする人がいないのが残念ですが、あとは滋賀に住んでいました。とか、びわ湖に行ったことがあります、小学校のときですが。とか、無理やりな感じが多かったりします(笑)

熟成肉に関しては、どこそこの誰から仕入れたことがあるとか、批判めいたことも聞いたりすることもあるのですが、このあたりは取り組んでいる人によって考え方も若干違ったりしてどれが正しいとかはないわけで、冷蔵庫の環境によっても仕上がり具合は違ってきますし、要は使う方がどこを見ているかであり、最終的には好みの問題だと思うのです。

私の場合は、熟成庫に入れて40日目をメドにしています。もちろん個体を見ながら調整をかけるのですが、シェフによっては香りが強く肉質が柔らかい肉が好みの方がいたり、香は弱くて肉質に弾力を求める方がいたりと様々なのです。ですから私の仕事はシェフの好みに合わせて熟成をかけていくことなのです。骨付きのまま納品することもあれば骨を抜いて真空パックすることもあります。このように冷蔵庫の容量と使用する頻度に合わせて包装形態も異なるのです。

さて、同じ熟成肉でも、近江牛に関しては「枝枯らし」という方法をとっています。これも広い意味では熟成なのですが・・・。

通常の熟成肉は正確にはドライエージングで温度、湿度、風を利用しながら微生物の働きで肉を乾燥させていきます。「枝枯らし」は風を当てずに枝肉の状態で吊るすやりかたです。通常の熟成肉と「枝枯らし」との違いは微生物の繁殖による黴の付き方と香りです。

一般販売用の近江牛はフレッシュな状態で、レストラン向けには「枝枯らし」で販売を行っております。本当は一般販売用も「枝枯らし」を用いたいのですがどうしても変色してしまいますので、不特定多数の方に販売していくとなるとかなりの確率でクレームの対象になる可能性があります。

「枝枯らし」はなにも珍しいものではなく、私が肉の業界に入った30年前には真空技術もなく当たり前の光景でした。ですから当時のお客さんは「肉は黒いもの」という考え方が通用していたのです。しかしながらいまはもう通用しないのです。「昔の肉はうまかった」という所以はこのあたりが大きく影響しているのと思われます。

写真の骨付きモモは、駒沢のイルジョット高橋シェフの預かり分ですが、高橋シェフと頻繁にやり取りしながら私は肉の状況を伝え、高橋シェフからは肉の変化やお客様からの反応などを伝えていただいています。こういった日々のやりとりから高橋シェフの好みの肉を作っていくのです。

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上記の骨付きランイチは、国産飼料100%で育てた近江プレミアム牛ですが、まず屠畜して1週間目のフレッシュの状態でウチヒラを外してイルジョットへ送ります。10日目あたりにシンタマを外し、20日目あたりでソトヒラを外し、30日目あたりでランプを外すといった感じで感覚を空けて骨を抜いていきます。

感覚的には、旨味が強くて余韻が長い肉に仕上がります。骨を外す順序からどうしてもウチヒラが先になってしまい、ランイチが最後になりますがご興味のある方はぜひイルジョットへお出かけください。熟成肉とはまた違った別世界の牛肉に出会うことでしょう。

 

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