料理通信第5回全国お宝コンテストでジビーフが世界に自慢したい9品に選定
今朝の情報番組でやってた近大マグロの図。稚魚を東洋冷蔵が買って育った成魚をツナ・プリンスとしてスシローが販売するという仕組み。人口授精で仔牛を産ませて成牛になるまで育てて出荷する繁殖肥育農家さんと仔牛を買ってきて育てる肥育農家さんと一緒だなと思って見ていました。
先日、東京で友人たちと会食した際に人材の話しで盛り上がったのですが、私の周りにいるほとんどがP/A入れて10人以下の経営者ばかり。そしてみなさん口を揃えて人を育てるのが苦手で… と言うのです。職人気質が強い友人が多いので納得なのですが、そういう私も人になにかを伝える、教えるって本当に苦手です。
例えば、肉を捌く(骨を抜く、筋を引く、肉をカットする)技術を教わりたいと時々若者(若者ではない方もいますが)がやってくるのですが、簡単そうにみえる骨抜きにみなさん手こずります。バラの骨くらいなら器用な方ならすぐに覚えますが、カタロースやウデなど骨の形状が歪になればなるほど苦戦します。
真空パック流通が主流ですから、骨を抜く作業自体が年々減少気味ではあります。だからこそ逆に枝肉から骨を外す作業が新鮮に見えるのか教えて欲しいと言われることが多いのです。そういった流通の影響もあって、他店で勤めていた方が私のところに来ると、まず困るのがなんでもかんでも真空パックにしてしまうことです。
とにかく真空パックにすることが当たり前になりすぎて肉の味ウンヌンはおざなりです。日持ちするから真空パックは便利です。これに救われている店はかなりあるでしょう。真空パックを否定はしませんし私も時と場合によっては使います。
ただ、せっかく枝肉で仕入れしているのであれば真空パックしないで使い切る方が肉自体の旨味がダイレクトに表現できるのです。つまりこういうことです。真空パックのバキュームによって肉が持っている酵素がドリップ(肉汁)と一緒に外部に流れてしまうのです。こうなると旨味がなくなります。真空パックによって日持ちはするけど旨味が抜けていくというわけです。
だから私が教えるのは、枝肉一頭をいかに使い切るかです。もちろん真空パックはしません。忙しい店ならいざ知らず暇な店には無理なのでは?… 言われるのですが、じつはそんなことはないのです。やり方や工夫次第では1頭の牛(半頭でも可)を1カ月程度かけてじっくり使えるのです。
私は肉屋としては生産者の元を訪れることが多いほうだと思いますが、牧場で牛を見ていると人懐こく私にペロペロする牛もいれば触らせない牛もいたりします。これすべて個性ですね。この個性ある牛たちの尊い命を預かるのが私たち肉屋であり料理人だと思うのです。だからこそなんとかおいしくしたいわけです。食べ手が感動するくらいおいしく仕立てたいのです。
技術の習得は根気よく我慢強くやり続ければいつか覚えることができます。ただそれだけでは肉はおいしくなってくれないし、おいしい料理も作れないと思います。
今日もたくさんの肉が入荷してきましたが、それぞれに個性がありどうやったらおいしくなってくれるのか… 毎日悩んでいます。
国産飼料だけで育てている近江プレミアム牛しかり、ジビーフしかり。私の元にやってくる肉たちは個性派ぞろいです。すべての肉の背景を知っていますし、だからこそ強い生命力を感じます。私は生産者の想いだけでなく牛のことも一緒に伝えられる肉屋でありたいし、そういう思いを受け継いでくれる人に指導していきたいと思っています。
てことで、料理通信の第5回全国お宝コンテストにおいて、ジビーフが世界に自慢したい9品に選定されました。パチパチパチ
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