スペイン料理 aca1°(アカ)の肉料理はこれから大注目です
公開日:
:
2015/03/20
店・料理人
今週はハードだった。週のはじまりを大阪でスタートして翌日は新潟へ行き(お店が凄かった!また機会があればご紹介したい)帰りは伊丹空港から直行で京都のスペイン料理 aca1°(アカ)へ行くという胃袋はちけれんばかりのスケジュールだった。持病の腰痛が悲鳴を上げだしたので今日から少しペースを落としながら決まっている予定をこなしていきたい。
アカの東シェフは肉より魚料理が得意(と私は感じました)。とはいうものの肉料理もきっちりと素敵な仕事をしてくれます。何度か木下牧場へも訪問していて当店にも2回来てくれました。そういう経由もあり、木下さんのお肉を使っていただいているのですが東シェフいわく「木下さんのお肉は難しいですねー」とのこと。いやぁー、うれしいですね。生産現場を知っているからこその感想であり、肉のことをよくわかっていらっしゃる。
木下さんの肉の特徴は、他の肉と比べて焼きあがるピークポイントが極めて狭いところなんです。そこを逃すと普通においしい肉になってしまいます。タイミングがピッタリ合うとなにこれ的な恐ろしくうまい肉になるのですがほんとうに難しい。
木下さんの肉に限らず、私が手がけている肉はすべて難しいと思うのです。問屋さんから仕入れて売るというやり方ではなく、枝肉のまま吊るして乾燥させるやり方をとっているので真空パックの肉に慣れている方には火の通り加減や管理なども含めてとまどうと思います。
取り引きというより私とシェフで肉を作っていくという感じです。生産者には赤身になるように飼育をお願いしていますが、仕上がりは個体差によってまちまちです。和牛は血統が肉質を左右するところが大きくあるので思いがけずサシが入ることもあれば脂がたくさんついてしまうこともあります。
このあたりは生き物ですからある程度は仕方がないところ。要は枝肉からどのようにしておいしく仕上げていくかだと思うのです。最近は骨付きモモ1本買いをされるシェフが増えてきました。1ヵ月前後でモモ(4部位)を使うイメージです。
この場合の骨付きモモは、木下さんの枝肉だけでは絶対数が足りないので、私が目利きしたものを吊るしています。例えば3月5日に吊るした近江プレミアム牛はクレメンティア田淵シェフの予約だったり、本日から吊るしはじめた木下さんの牛はイルジョット高橋シェフの予約だったりするわけです。
他にも、2月2日に吊るした山形牧場のモモは、Le14e茂野シェフの好みにどこまで近づけられるか私の実験用だったりします。かなり状態よく仕上がったので私自身は満足しているのですがあとは茂野シェフとお客様の評価待ちです。このようにシェフの好みに合わせて仕上げていくのですが、基本的に長期の吊るしに雄牛は耐えられないので雌牛限定です。
熟成しかり吊るししかり、どんどんマニアックな深みに溺れてますが考えれば10年前まではこのような状況になろうとはまさか思ってもいませんでした。ずっと1人で群れずにやってきましたので、だれかと肉の話しをすることさえありませんでした。近江牛の組合には事情があって登録はしていますが行事などに参加したこともありませんし、いくつかの会があって、そういうものにも参加していませんし、横も縦も繋がりがないんです。こんなふうに書くと私が孤立しているみたいですが、友達がいないだけです(笑)
だからシェフのみなさんと肉の話しができることはほんとうに嬉しくて楽しいのです。私自身がすごく勉強になりますし、ヒントをたくさんいただきます。そこには生産者もいますし消費者も存在します。私たちが造る牛はこれからもっとおいしくなります。なぜならみんなで造っているからです。
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