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イブマリ・ル・ブルドネックが開講するマスタークラスとは

公開日: : 2015/05/24 フランスの旅

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5月11日~19日までのフランスの旅は、当初いつものように私の「ついつい言ってしまった」的な計画性のない発言からはじまり、とりあえずは13日に開催する肉Meetsに5人程度集まればいいかなぁと募集したところ最終的に30名になり、慌ててmasayoさんに相談したのが事の始まり。昨年にmasayoさんのボラン農場を訪ねて強く感じたのは、日本人が絶滅しかかったアルモリカン(牛の品種)を復活させるべく異国の地で奮闘している様をぜひ日本人にこそ知ってほしい。そしてできれば食べて欲しいと強く思ったのでした。おそらくmasayoさんがいなかったらアルモリカンは絶滅していたでしょう。

今回のフランスはとにかく牛三昧というか肉三昧で牧場見学がメインとなりました。興味のない方には辛かったかもしれませんが私はもちろん大満足。通常の観光ではぜったいあり得ないことですからね。イブマリとクラリス、そしてmasayoさんが全日程を計画してくれました。内容が濃すぎて少しずつアップしていきますが、まずは到着日翌日の12日に開催されたマスタークラスから。

マスタークラスというのは、イブマリとクラリスが肉職人を育てる教育プログラムの上級コースです。日本では私ときたやま南山の楠本さんがすすめていて、フランスと連携しながら肉屋や料理人を目指す若者を支援していこうという専門性の強いスクールなのです。9月に日本から参加する若者がいることもあり私たちもさわりだけでも体験させていただこうと実現したのでした。

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まずは、イブマリによるスペイン産の生後60日のアニョードレ(子羊)の解体からはじまりました。日本ではなじみのないアニョードレですが、手際よく捌いていくイブマリは、この日は観客も多いと言うことで「魅せる」捌き方を披露してくれました。肉屋の技術は、ただ骨を抜く、筋を引くというだけではなく「綺麗」「芸術」という言葉が連想されるほど鮮やかで、こういった技術の継承を我々がやっていかなければ後継者も育だたないし、なによりも魅力を感じない職業になっていくように思うのです。

職人と言うものは本来は、人前でパファーマンスするものではなく無言で黙々と仕事をこなす人なのかも知れません。しかしながら伝えなければならない技術は時としてパフォーマンスしながら「カッコいい職業」と思ってもらえることも必要なことだと感じた次第です。イブマリと最初に出会って意気投合したのが「肉屋を若者が憧れる職業にしたい」ということでした。マスタークラスはまさにそのための一環でもあるのです。

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私が修行時代に口やかましく言われ続けてきたのが「早くきれいに!」。いまだに頭から離れませんし、指導する際には必ず早くきれいにを心がけるように言い続けています。なによりもいまも私が肉と向き合うときの基本となっています。忙しくなるとついつい雑になったりすることが多くなると早くきれいにを自分自身にも言い聞かせているのです。イブマリの捌きっぷりはまさしく早くきれいな仕事でした。おそらく彼も修行時代にそのような指導を受けてきたんじゃないかな…. 今度聞いて見ます。

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続いては、シャルキュトリーの第一人者、ジル・ヴェロのところのトップシェフ2人によるパテ作りの実演です。こちらもおいしいだけでなく早く美しく丁寧に仕上げなければいけません。豚肉文化の沖縄では「鳴き声以外はすべて使う」と言われていますが、まさしくこの日は、豚肉は皮や喉肉まで使い、そのゼラチン質を最大に生かした料理なのだということをあらためて認識させられました。

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日本で豚の頭を仕入れるとほとんどの場合は喉は外された状態のものがくると思います。しかしながらパテ作りには喉肉が重要だと言います。私も過去何度かシェフに頼まれて豚の頭を仕入れて見ましたが、皮が剥されていたり、舌や喉がなかったり散々でした。ここ最近は鮮度の良いフルセットな頭を仕入れられるようになったのでシェフのみなさまにもお喜びいただいています。

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鴨と豚喉肉ミンチ、フォアグラ、ドライ無花果のパテはいままで食べたことのないおいしさでした。日本でも様々なシャルキュトリーに出会う機会が増えてきましたが、本場で味わうものは一味違うおいしさがありました。こういったことが学べる環境にあること自体がうらやましくもあり、あと30年若かったらとついつい叶わぬことを思ってしまうのでした。

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続く…

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