お金の匂いがしない料理は疲れない
公開日:
:
2015/07/21
店・料理人
Le14e茂野シェフを質問攻めにするきたやま南山の江口さんと岡田さん。双方ともに扱う肉は同じ(木下牧場の近江牛)しかしステーキフリットと焼肉とではカットを含めた提案の仕方が異なります。茂野シェフは、極力手を加えたくないと言います。素材本来の味が失われることを嫌います。目の前にある肉をどうしたいのか。そこに感謝はあるのか、愛はあるのか。
11月の肉Meetsでは、茂野シェフが焼肉の肉をカットしたらどうなるのか?
南山の江口さん、岡田さんがどう返していくのか?!おもしろくなりそうです。
Le14eで肉Meetsをやると、メニューが二転三転します。肉の状態を見ながら変えていくからその都度説明する私は大変(笑)
例えばこんな感じ。
ランプ肉をステーキ用にあらかじめカットしていたのですが、急にミンチを挽きだしてステーク・アッシュに変更したり、予定していなかった肉を使ってしまい翌日営業分の肉がなくなったりと、一見めちゃくちゃのように見えますが茂野シェフが大切にしているのはライブ感でありお客さまに喜んでもらいたいという精神なんだと思うのです。
茂野シェフが物件を探していたとき、キッチンから客席が見渡せることが条件だったそうです。5坪だったか6坪だったかの店内はまるでパリにいるかのような錯覚に陥ることがあります。フランス人のお客様も多くいらっしゃるのでなおさらです。
そしてなによりも料理にお金の匂いがしないことです。Le14eだけではなく私が懇意にしていただいているシェフの料理はお金の匂いがしないものが多いのです。一方、フェミレスやチェーン店の料理には原価計算されたお金の匂いをどうしてもつきまといます。そうなると料理はおいしくないし雰囲気にも疲れてしまいます。
いつだったか伊賀のモクモク手づくりファームの吉田修さん(当時専務)が、高校野球をみんなが応援するのはお金の匂いがしないからだ。土と汗の匂いしかしない。プロ野球はお金の匂いがするから好きもあれば嫌いもある。と言っておられたことを思いだします。
もちろん事業を継続していくには利益を求めることは当然ですし、フェミレスやチェーン店がいけないということは断じてありません。しかし、茂野シェフもあのシェフもこのシェフもなんかいい意味で適当なんです。好きなことをできるだけストレスがかからないようにやっているように見えるのです。だからいつも楽しそうです。
北海道・大樹町のころころ牧場で育つ「じゃがポーク」です。インカのめざめ(じゃがいもの品種)をエサにしているのが特徴です。
越冬することでグッと甘みがでるので豚の脂に影響があるといわれています。愛農ナチュラルポークが「柔」ならじゃがポークは「剛」です。放牧で足腰ガッチリ鍛えまくりの豚ですから肉質は硬めです。昨年、ブルターニュの農家レストランで食べた豚肉に味がよく似ていて、聞けばその農家も数頭だけレストラン用に放牧させているのだとか。
このじゃがポークを1頭仕入れしているレストランがあります。京都の二条にある「プレーゴ藤吉」がその店ですが、ぜったいに儲かりません。ロース系は炭焼きにして、ウデやモモはシャルキュトリーにしているのかな?… 使いこなすのは大変だと思うのです。しかし、そこじゃないんですよね。生産現場の環境含め、背景まるごろ料理にするというか、お金のために仕事している感じがしないのです。じゃがポークはけっして安い豚ではありません。かと言って「プレーゴ藤吉」が高級レストラン並みの売価をつけているとも思えません。だから儲かるような豚じゃないんです。
じゃーなぜやってるの?… って聞かれそうですが、ぜひお店に足を運んで直接お聞きください(笑)
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