Dal Pescatore(ダル ペスカトーレ)の料理を再現
公開日:
:
2015/11/17
イベント
目黒のLasse(ラッセ)村山シェフが修行した地、イタリア・マントヴァはヨーロッパ有数の良君主と唱われた中世ゴンザーガ家の城下町です。北西部のクレモナから車で30分程走ると、人口30人程度の集落があります。その1軒がイタリアで長く三ツ星を維持している名店「ダル・ペスカトーレ」です。隣国からヘリコプターでわざわざ料理を食べにくるというから世界観が違いますね。
いつだったかの食事会で、マッキー牧元さんとレカン高良シェフが村山シェフに「ダル・ペスカトーレの料理作ってよ」がそもそものはじまり。こういうときって言う方は酒の席と言うこともあって適当なんですよね。だから聞く方も適当。その適当がなぜか実現するからおもしろい。てことで、ブルーナおばあちゃん、ナディアお母さんから受け継いだ「ダル・ペスカトーレ」の世界を再現する会がLasseで開催されたのでした。さて、どのような料理が食べられるのか、わくわくドキドキです。ちなみにシェフは2か月間悩んでそうです。この日、私が手配させていただいた食材は、愛農ナチュラルポークの骨付きロース、豚足、近江牛レバーです。
・パンフリットとマントヴァのサラミ
北イタリア、パダーノ平原一帯で親しまれている薄く揚げて膨らましたパンフリットにマントバーノサラミを乗せています。
・ストゥルーデル
ラディッキオ ロッソを赤ワインと赤ワインシロップ、玉ねぎ、にんにくで炒め煮にして煮詰め、白トリュフと一緒にパイ包みにしてサクッとこんがりオーブン焼きにしています。ナディア直伝のバーニャカウダを添えて。
・オマール海老のテリーヌ
優しく火入れをしたブルターニュ産オマール海老をシャンパン、レモンでテリーヌに。キャビアをどっさり!ナディアのスペシャリテです!
・近江牛のレバーのローズマリーバターソテー
ポルチーニと一緒に、たっぷりの作りたての自家製バターで香り高く炒めてます。ベネツィア風玉ねぎソースを絡めて濃厚な一品に仕上げています。
・豚足キャベツ煮込み
ナディアの冬の一番のお気に入りのスペシャリテです。たっぷりの人参、セロリ、玉ねぎを出来立てバターで炒めて、白ワインを加えてニンニク、ローズマリー、クローブ、黒胡椒、ジェニパーベリー、ナツメグ、トマト、ブランデーを入れ、あとは大量のキャベツで蓋をしてコトコト優しく、豚足がふるふるになるまで煮込みました。骨をとり、ソースを煮詰め光沢を出して豚足にかけています。
・タリアテッレ うなぎとレモンのクロカンテ
卵黄と粉で練った麺を乾燥させて熟成させています。浜名湖産の天然うなぎをパリッとオリーブオイルソテーして、甘く煮たレモンを添えています。マントヴァは内陸なので淡水魚の宝庫です。ブルーナおばあちゃんからナディアに受け継がれた味です。
・トルテッリ
普段、ラッセでは分かりやすく呼びやすいラビオリと言っていますが、正式名称はトルテッリです。チーズをたっぷりいれて包んでいます。ナディアが4種類のチーズをブレンドさせて考えました。日本で再現するのがとっても難しくて、粉も、卵も30種類以上組み合わせて試して現在に至っています。毎日の気温、湿度、季節によって人の体調、気分が違うので、練る時間、生地の厚さ、タイミング、卵の量、茹でる時間、茹で塩の量などなど瞬時に考えて決めていきます。
・愛農ナチュラポークの煮込みオーブン焼き
煮込みだけどオーダーが入ってから煮込むオーブン焼き。マダガスカル黒胡椒と中国山椒の香りが不思議に目を見張ります。皮はハチミツを塗ってパリッとこんがり焼き上げます。ナディアのマンマの味をそのまま味わって頂きます。
・カッサータ
シチリアの御菓子だけどナディアのアイデアたっぷり詰まったオリジナルに仕上がっています。オレンジ、パイン、マンゴーのフルーツシロップ煮を手作りでたっぷりいれています。
・リンゴのタルトタタン
リンゴの味わいを、バターと砂糖をキャラメリゼしてナディアお母さんの直伝の手法でそのままに。冬に学校から帰ってくる子供達に食べさせてあげるおやつです。マンマ愛情たっぷりの暖かい優しい味わいです。
・小菓子達
ナディアお母さんとブルーナおばあちゃんから教わった茶菓子達です。全てがダルペスカトーレのスペシャリテの料理達で、ナディア、ブルーナから受け継いだ味です。
ラッセの厨房は村山シェフを筆頭に男子1名、女子2名の構成です。みなさん20代の若者たちですがすごく楽しそうで笑顔が絶えないんです。環境がすばらしいのでしょうね。ところで、この日の料理、すばらしくおいしかったのですが、余韻がじわじわきたのは翌日なんです。
ワインとのカップリングも抜群でした。ただ、こんなことを感じました。もし、この日の料理が通常営業のコースとして出されたらこれほど感動しただろうか。もちろんおいしいことには変わりはありませんが、感動するまではいかなかったんじゃないかと。
村山シェフから「ダル・ペスカトーレ」の話しを聞き、食材の背景を知ることにより、行ったことがないマントヴァの街並みが浮かびました。それほどまでに経験を積んだ料理人の言葉は説得力があり、その想いが皿に込められているのです。余韻が長く続くようなおいしさは、食材の力と料理、そしてシェフの強い想いがあってこそなのかも知れません。
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