2015年最後の肉Meetsはイルジョット高橋シェフとクレメンティア田淵シェフのイタリアンコラボ
ジビーフのLボーンは凄まじくおいしかったのでした。高橋シェフの火入れは炭と網の距離が近い独自の釜を使い高温でガシガシに焼いてからじっくり火を通すやり方ですがこれが絶妙なんです。イルジョットは星付きレストランでもなければ高級イタリアンでもありません。ミシュランの基準は私にはよくわかりませんが、目の前の皿だけではなく食材の背景も含めたこの日の料理は参加者の度肝を抜くものばかりでした。
昨年に引き続き、今年最後の肉Meetsはイルジョットで締めくくりました。高橋シェフとクレメンティアの田淵シェフ、内田シェフのコラボディナーです。今回は内田シェフが晴れてソムリエになったということでワインを担当することに。
内容は、木下さんの近江牛、去勢と雌の食べ比べ、シビーフ、石垣牛のドライエイジング、愛農ナチュラルポークと盛りだくさんすぎて最後のパスタまでたどり着けない方々続出(笑)
参加者は友人知人ばかりなので、あえて肉の説明をしなくても十分知っている方々ばかり。だから余計においしさがプラスされるのかも知れませんが、料理の楽しみ方って本来こういうことだと思うのです。生産者を含めてその食材に関わるすべての人の顔が浮かぶ料理ですからなおさらおいしいのです。
調理台に置かれた原始的な肉の塊にご注目いただきたい。ロース、ランイチ、ソトヒラ、すべて骨付きです。イルジョットにはほとんどの肉を骨付きで届けているのですが、骨の外し方が斬新というか実に理にかなっているのです。
脱骨は肉をひっぱったり骨を持ち上げたりしながら外していきます。そのために肉の繊維が引っ張られたり包丁で傷が入ったりして肉にストレスがかかるのです。そうなると骨を外した瞬間から酸化がはじまり肉は骨を外した関節のところから腐敗していくのです。
肉屋の捌きは一気に骨を外していきますから高橋シェフのような捌き方はしません。だから手前のソトヒラを見たとき驚いたのです。こんなやり方があるのかと。写真の奥に写っているシンタマも同様に使う分だけ切り取っていました。イチボに関してはヘラのようなものを差し込んでランプと分けながらカットしていました。高橋シェフのやり方は肉から骨を外すというより骨にくっついている肉を切り分けていくという表現が正しいです。
肉屋の職人は私も含めて若いころから修行経験がありますから、捌きとはこうあるべきが身についてしまっています。基礎ができていればある程度のアレンジは加わりますが、ここ数年で知り合った料理人の方々の仕事ぶりを拝見していると正解なんてないんだなとつくづく感じたりします。それよりも目の前の肉を理解して、いかにダメージを少なく捌けるかがおいしさに直結するように思うのです。
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