肉屋の仕事
公開日:
:
2016/01/31
雑記
小学生のときにサッカーのコーチから「サッカーで一番重要なことはなにか分かるか?」と質問されて、チームメイトも僕も、ドリブルとかパスとかチームワークとか… 良い答えを言おうとしてコーチが要求する答えに辿り着けなかった記憶があります。サッカーで一番重要なのは、あたりまえですが「ゴールすること」です。じゃー、肉屋の仕事で一番重要なことは?=もちろん肉を売ることです。
レストランで食事してシェフにおいしかったことを告げると、「素材が良いからなにもしていないのです」と言われることがよくあります。「食材に助けられました」とか「食材の力が90%で私なんかたかだか10%ですよ」なんてことも会話の中で聞くことがあります。
牛を飼育する人がいなければ肉屋は成り立ちません。枝肉の状態である程度の予想はできます。簡単に言えばおいしいのかおいしくないのか。枝肉の目利きは経験と好みしかないのですが、大きな牛が好きな人もいれば小ぶりの牛が好きな人もいます。生産者はおいしくなってくれ、少しでも高く売れてくれと願って出荷するのですが、実際に枝肉になると思いのほか脂が多かったり、予想外の評価だったりと、生き物相手ですからなかなか思うようにはなってくれません。
肉屋の仕事は、仕入れて売るだけではなく、「おいしくして売る」ことだと思うのです。牛(肉)が持っている能力を100にも200にもするのが肉屋の仕事です。骨を外したり筋をひいたりする技術も必要ですが、肥育農家さんが子牛を目利きするように、肉屋は枝肉を目利きして仕入れます。現在は真空パックされたブロック肉の流通が主流ですから、わざわざ枝肉で仕入れている肉屋はかなり減りました。骨を外す作業は重労働ですから、私もいつまでやれるかわかりませんが体力が続く限りは楽しみたいと思っています。
枝肉から骨を外すと酸化がはじまりますので、できる限り骨が付いた状態で保存しています。写真はソトヒラですが、水分が多い場合はある程度抜けるまで見守ります。私の力ではどうにもできないので、ただ見守るだけです。毎日触って水分量を確認しながら骨を外すタイミングを見計らいます。水分が多いと、ステーキで焼いたときにお皿に肉汁が溢れます。あれが嫌なのでできる限り肉を乾燥させるようにしています。こういうのが肉屋の仕事であり、「おいしくして売る」ことだと思うのです。
好みと自己満足が入り乱れていますが(笑)
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