カウンター10席でシェフは1人、いま予約しても2017年の6月という驚愕のイタリアンはトスカーナのマンマの味
公開日:
:
2016/11/11
店・料理人
毎日のように内臓を触っていると、肝臓を見ればだいたい分かりますよ。どんな牛だったのか。修行時代から内臓はたくさん触ってきましたが、一昔前に比べたら全体的に質が落ちていますね。それなのに価格は3倍くらいになっています。内臓の質が落ちているということは肉の質も同様だと言うことです。格付け制度ができてから和牛はサシの文化になり、それがおいしさの象徴のように思われがちですが、さすがに感度の高い人たちは「サシ=格付け」と「おいしさ」はあまり関係がないことを知っています。溢れる情報のなかにも、正しい情報を整理するライターさんもいたり、少しずつですがメディアの環境も変わりつつあるのかなと感じています。
ところで、数年前からの赤身ブームでサシの入った肉が敬遠されているように思われがちですが、じつはまだまだ根強い人気があるのです。そして、正しく飼われた牛のサシはやっぱりおいしいのです。
ただ、サシが入りすぎている(入れすぎている)牛の肉質は一昔前と比べるとあきらかに変化してきています。特に牛を増体するようになってから目立つようになりました。このあたりは生産者には分からないところです。問屋さんにも分からないでしょう。実際に肉を触って切り分けている肉屋や肉屋レベルの仕事をしているシェフにしか分からないと思います。
だからこそ、私は生産者も選ぶし牛も選びます。納得したものしか出したくないし妥協すれば料理人に見抜かれますからね(笑)

レバーを熟成させることはありませんが、と畜場から引き揚げてきて肉質を落ち着かせるために冷蔵庫で1~2日程度置きます。余分なドリップをペーパーに吸わせながらぷりんとした形に仕上がればシェフの元へ発送です。色、艶、張り、弾力、味、粘り。そして私が重要視しているのが筋膜です。
この日は、私たちの貸切でしたが、カウンター越しに見えるシェフの手捌きに見惚れ、レバーのおいしさに度肝抜かれたのでした。

いまだに生食を要望する方がたくさんいるようですが、質のよいレバーは火を通してこそおいしいのです。
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