熊本・東海大学のお母さんあか牛が入荷。すばらしい肉質に興奮せずにいられない
公開日:
:
2016/11/19
あか牛
熊本・東海大学農学部の阿蘇草原あか牛の流通を担っている橋村さんからあか牛を肉として仕上げてほしいとお願いされて(私としてはあか牛を触れる機会をいただいたのでラッキーでした)、有志のみなさんと橋村さん、東海大学の服部先生も交えて意見交換しようじゃないかとイルジョットに集まったのが10月18日のことでした(→)
そのときに、服部先生から経産牛が一頭いるということをお聞きして、ならば私が預かりますよという話で、その場で年内と畜をお願いしたのでした。そしてふたたび12月にイルジョットで橋村さん、服部先生を交えて意見交換会をすることもその場で決まったのです。
私が要望したのは、再肥育しないでほしい。そして枝肉で運んでほしいという2点です。と畜は11月9日に行われ、まずは内臓が先に届きました。
本題から少し話がズレますが、ここ1~2年、銘柄牛もそうじゃない牛も個人ブランド化が目立ってきました。グルメ番組や街中の看板で聞き覚えのない牛肉を見かけることがありますが、まさしく個人ブランドですね。赤身の需要が増えて格付けをこだわりにしただけでは差別化ができなくなってきているのも要因の一つだと思います。数年前までは「安心・安全」がキーワードだった畜産業界も、いまは「健康」がビッグキーワードです。いろいろ思うところはありますが、阿蘇の草原あか牛の内臓はとにかくすばらしい。
健康に育ったかそうでないかは、見た目でもわかりますが、処理していたら一目瞭然です。焼肉屋さんでお皿に並んだホルモンはキレイですが、そこに行きつくまでは結構ハードなんです。内臓ってキレイなもんじゃないですし臭いもありますし、掃除はすごく大変だし冬なんて冷水で洗いますから手袋していても凍えそうなんです。
内臓こそ経験がすべてなのです。処理の過程で異変に気づくこともありますし、それを探るのも私たちの仕事です。内臓は手間のわりには儲かりませんが、それでも一頭を食べ尽くす醍醐味は格別なんです。
ピカピカのあか牛の内臓ですが、こちらはすべてきたやま南山さんで食べることができます。私もまだ食べていませんが内臓を見れば肉の状態がだいたい想像できます。そして本日、あか牛の枝肉が熊本からトラックに揺られてやってきたのです。
もうね、肉を見た瞬間に思わず「すごい!」って口走りました。12年間大切に育てられたおかげで飼い直しせずともこの肉質はすばらしいです。これこそ健康に育った牛であり、どれだけすばらしい環境で貞てられてきたのかが分かります。
しばらく吊るしておきたかったのですが、リブロースとヒレはすでにご予約いただいていたので、早々にカットして発送し、残りは枝肉のまま12月の意見交換会までしっかり保管させていただきます。ちなみに、半頭はきたやま南山さんへ嫁いでいきますので、ホルモンともどもぜひとも召し上がってください。
10月18日、イルジョットで食した後に服部先生がFacebookに投稿した記事です。
東海大学で2シーズン放牧をした「草原あか牛eco-beef ASO」のお肉をプロの目で評価していただきたくて、お肉のスペシャリスト、近江牛.com 新保さんにお肉を預けました。冷蔵庫で毎日、生のお肉と語り合いながら、そのお肉のアイデンティティーを引き出してくれる職人さんにお肉をケアーしていただき、一流のシェフに調理していただき、食に関心の高い方たちに食べていただき、私達の立ち位置を確認したかったのです。思いの他の高評価に一安心しましたが、放牧終了後の餌(仕上げ)をもっと阿蘇らしい資源で満たすよう工夫しなければと思っています。
この牛達の美味しさは、毎日、牛達に語りかけてくれる、学生達のしつこいくらいの愛情が大きな要因だと思っています。地震後、生まれて、お肉になるまでの、約28ヶ月間何時も側で可愛がってくれる学生達が此処に居ません。学生のおかげで、牛達は穏やかに育ち、牛達のおかげで、学生は人間力を磨いています。そんな日が、早く戻ってくれることを願っています
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